2.06.2009

Ça va ? 「グーグーだって猫である」



大島弓子x犬童一心x細野晴臣・・ 強力なトライアングルだ。 これはもう原作とか監督とか音楽監督とかいうパートではなく、 最初から一体であるかのような世界なのだ。 ここ! というベストタイミングで ベストな音楽が流れた瞬間にそれは確認できるはず。 グーグーの前にはサバという猫がいる。 鯖から "Ça va ?" へとつながる感覚が日本とフランスを地続きにし、 幸せだった頃のタイムカプセルを開けてしまったような高揚感と物悲しさがあふれ出す。 これこそ日本映画がたどり着いた一地点なのだろう。

ガスリー? 井の頭公園で歌う若いフォークデュオにそうした志向を持たせるところが団塊の世代か。 犬童監督はもう一つ下の世代で自分も同世代だが "新人類" などと呼ばれたものだ^ ^ 新人類のスノッブな一部は、 団塊の世代からの文化的な影響を受けやすいのだ。 監督も大島弓子を読み、 YMOを聴いて育ったに違いない。

吉祥寺・・ 東京に住んでいても数えるほどしか行ったことないな。 。 猫探しに飽き飽きしてタクシーを拾い青山へ帰る彼女が出てくるが、 こういう相対的な視点もきっちり入っているところがいいね。

「ジョゼと虎と魚たち」 「メゾン・ド・ヒミコ」 ・・ 徐々に 'ほのぼの度' を増している気もする犬童監督だが、 的確に物語は進行し、 かといって硬直した感じもなくて さすが。 もうキョン2とは呼べないであろう小泉今日子の抜擢も、 ただの話題づくりではない秀逸なキャスティングだったことがわかる。 ぬこでなくて犬だが、 うちにも一匹いて、 手術すべきかどうか今すごく悩んでいる。 その解決案はここにはないが、 ペットや動物園の象と人間が、 あるいは喜びと悲しみが相対化されているところなども、 さすが。 邦画はあんまり見ないんだけど、 という人にもお薦めだ。


グーグーだって猫である (2008日本) 公式サイト&トレーラー
原作 大島弓子 脚本・監督 犬童一心 音楽 細野晴臣 
小泉今日子 上野樹里 加瀬亮 大島美幸 楳図かずお 小林亜星 

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