薔薇色の人生 ｢ジェリーフィッシュ｣

いわゆる､ やさしい映画｡ とくべつ持ち上げる気もコケにする気もないが､ なにげなく見て､ いつかふとワンシーンが脳裏によみがえったりするなら､ それもいい｡ 夫婦で監督というめずらしいパターンのイスラエル映画で､プロデューサーや監督の親戚なども出演者に加わる家庭的な製作スタイルらしい｡ 奥さんのシーラが脚本を書き上げた頃､ 妊娠が判明したので製作を遅らせようとも考えたが､ 結局はそのまま進めて一挙に作品と子供を誕生させたという｡

しかし､ どこの世界にも落ちこぼれはいるもんだなあ＾ ＾ 人生に不器用な人たちが交錯するテレアビブ｡ 海から突然現れた少女の面倒を見るうちに､ 女は仕事をクビになってしまうが､ 後でこの子は ○○ だとわかる｡ イスラエルにも外国人労働者が増えつつあるらしく､ 舞台女優をめざす女が､ 母の介護に雇うのもフィリピン人女性｡ 結婚式で足を骨折してしまう新妻､ 式場のカメラマンなのに自分の興味の対象にカメラを向けてしまう女性写真家･･ ニュースで見るイスラエルはタカ派なイメージだけど､ 実態はこんな感じなのかと窺い知ることにも価値はあるだろう｡

子供の頃の自分を撮った8ミリフィルム､ 浜辺のアイス売りおじさん､ ビニールの浮き輪､ 帆船の模型･･ 懐かしアイテムを散りばめながら､ 料理もケーキも同じで新郎新婦が変わるだけのウェディングを風刺し､ そしてホテルのスイートに一人で泊まる謎の女性といったサスペンススパイスをひと振り｡ そして､ それらすべてを包む曲は､ かの "ラ･ヴィ･アン･ローズ 薔薇色の人生" ･･ 誰のバージョンかは知らないが､ 誰しもがラヴィアンローズ､ ガラス瓶のなかの船を大海原に解き放て･･ そんなメッセージを込めて｡ ある意味出来すぎのカメラドール受賞作｡ ｡


ジェリーフィッシュ Meduzot／Jellyfish (2007イスラエル･フランス) 日本公開2008
監督 エトガー･ケレット+シーラ･ゲフェン　＊カンヌカメラドール　
サラ･アドラー　ゲラ･サンドラー　ノア･クノラー　公式サイト＆予告編

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