
女落語家の話なんて面白いだろ?と、 企画サイドだけで盛り上がる "楽屋落ち" を感じなくもないが、 それでもミムラの一本気な演技、 津川の女好きでいいかげんな師匠ぶり、 そしてラスト近くのタンカと見せ場は豊富。
そう言えば女落語家って聞いたことないな。 落語の世界は '由緒正しく' 男尊女卑で、 女の板前がいないように女の噺家も存在してはならない。 弟子入りを志願して訪ねた師匠の口から、 そんな言葉を聞かされ門前払い。 拾ってくれたのは、 はみ出し者の "三々(サンザン)亭" ただ一人。 入門したのはいいが、 この師匠は稽古もつけてくれず、 ギャラ優先でテレビの仕事をしてはソープに通うような男で、 落語協会もこの男の排除を計画していた。
"人を喜ばせるのに高尚もへったくれもない" との哲学を持つハンパ師匠は、 テレビ局の企画に乗って禁断の噺を開封する。 これまでにその噺をした者は結末まで話し切れずに、 ことごとく非業の死を遂げたとされる、 いわく付きのネタ。 番組は "禁断の口演まであと○日" とカウントダウンを開始する・・
女人禁制の落語界と対照的に、 このテレビの企画を仕掛けるのは女プロデューサー。 芸、 あるいはエンタテイメントの変遷を示唆すると同時に、 一本気な女落語家との好コントラストになっている。 当ブログ2008年最後のエントリーは、 落語という古典的な世界の内幕を切り取り、 怪談やサスペンス風味を取り込みながら、 爽やかな結末へと導く佳作であった。


落語娘 (2008) 公式サイト&予告編
監督 中原俊
ミムラ 津川雅彦 益岡徹 伊藤かずえ
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