12.17.2008
黄色い空 「レッド・バルーン」
ラモリスの 「赤い風船」 へのオマージュということで、 リバイバル時に併映された作品。 だがオマージュというのは体裁だけで、 今度ラモリスの特集やるから何か撮ってくれ、 などと頼まれたような作品。 パリでカメラを回せばとりあえず絵になるだろ、 あとはポロポロンとピアノでも被せるか・・ なんて感じで撮り始めたのか。
何でもない日常を描いた映画は嫌いじゃない。 多少退屈でもスクリーンの前に座った手前、 あるいはDVDを借りてしまった以上、 とことん付き合ってやろうという気はあるのに、 本当のところは描きたいものなどない爺さんのたわごとに付き合うほど暇じゃない。 それでも最後まで見たんだから、 文句の一つや二つ言う権利はあるだろう。 誰かが労力を払って作ったものにケチをつけるのは基本的に好きじゃないが仕方ない。
ラモリスから50年、 現代の少年は赤い風船に興味を示すが 追いかけたりはしない。 そんなことを描きたいのかと思えば、 すぐに忙しそうに飛び回るシングルマザーの話になる。 忙しそうだがキャリアウーマンではなく人形劇の語りをやっていて、 それでは食べていけないらしく 生活費は親から譲り受けた家の家賃収入で得ている。 パリの街角にショートカットで色気のない中国女が登場し、 このシングルマザーにベビーシッターとして雇われる。 女は映画の勉強をしているということでビデオカメラを回しながら子守をするが、 東洋人として視点を観る側にも強要されているようで窮屈だ。 全般的にカメラのアングルや画角もどこか窮屈だし、 パリのアパルトマンも狭くて窮屈そうだが、 この部屋で撮られたショットがほとんどで、 その合間に赤い風船がパリの街を漂うカットが挿入されるだけのオマージュ。
シングルマザーは人形劇の脚本家にも部屋を貸しているが、 家賃を滞納しているため弁護士を呼んで銀行口座を差し押さえる相談。 また少年の練習用ピアノを業者に頼んで運び入れる。 そのときの業者への表面的な気づかいは何ともリアルだが、 だからといって夢と現実の対比などと解釈すべき表現でもなく、 最後までこの調子でツラツラ。 ホウ・シャオシェンの・・ なんて但し書きがつくタイトルの例に漏れず?な内容で、 レッド・バルーンと英語になるのも?だ。 せめてバルーン・ルージュにしとけよ。
それでも何とかワンポイントだけでも褒めるなら、 ラストのパリの空の色。 上の写真のように黄色味がかった空は、 それだけで微妙に切ない。
ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン (2007フランス) 日本公開2008
LE VOYAGE DU BALLON ROUGE 公式サイト&トレーラー
監督 ホウ・シャオシェン
ジュリエット・ビノシュ シモン・イテアニュ ソン・ファン
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