5.11.2008
映画化ではなく、映画を 「壁男」
その昔、 森田芳光が 「キッチン」 で東京の物語にもかかわらずオール北海道ロケを敢行した。 そんなエピソードをふと思い出したが、 室内(壁)が主役の本作の場合、 札幌の空気感がどう作品に作用してるかは定かではないが本作もオール札幌ロケとのこと。
原作と映画化の関係について、 ときおり疑問が頭をもたげるが、 この作品でもしかり。 映画化というプロジェクトが一つの原作を取り上げるとき、 語弊を承知で言えば大企業がベンチャーを買収するかのような力の論理が大前提としてあり、 にもかかわらずそれは、 よりリスクの低い投資であるからこそ遂行される。 一観客として観れば、 あらかじめリミッターのかかった輸入車を買うような嬉しがり方しか許されない方法論ではないだろうか。
映画化権を買うのではなく原作者の持ち味を買って、 オリジナルのプロットを映画のために新に作ってもらう。 あるいは最初からスピンオフとして書いてもらう。 そんな製作スタイルが出てこないものか。 すでにこの世を去った大先生の作品ならいざ知らず、 注目の作家だからこそ同時代を呼吸するクリエーターとしてプロジェクトに参加してもらえばいいのだ。 リスクは高くなるけどリターンも大きくなるに違いない。
さらに言えば映画人自身にも、 もっともっとオリジナルな視点が必要なのだ。
壁男 (2007日本)
監督 早川渉 原作 諸星大二郎 (コミック)
堺雅人 小野真弓
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