7.04.2011
You have me. 「カンパニー・メン」
ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の 「カンパニー・マン」 (2002) という作品があって、 けっこう面白かった記憶があるが、 あちらは原題が CYPHER (暗号) ということで、 本来タイトルはカブっているわけではない。 こちらはリーマンショック以降のアメリカの事情を取り上げているのだが、 淡々と見れてなかなか面白かった。
不景気のなかで部門整理、 人員整理が行われ、 アフレック演じるボビーは12年勤めた会社に解雇される。 向こう3ヶ月分の給与と再就職のサポートを約束されるが、 家のローンをはじめ家計に暗雲が立ちこめる。 3ヶ月分って多いよね、 自分などが勤めた会社は自己理由でない場合は1ヶ月分だった。
就職サポートセンターみたいなものが出てくるが、 これはハローワークなんかとは少し違って、 自分のデスクと電話が用意され、 そこから就職活動の電話をかけたり受けたりするというもの。 苦難に際してのメンタルなサポートなどもいちおうしてくれる。 元の会社が行う再就職サポートというのは、 推薦状を書いたり、 このセンターの料金を負担するというだけのこと。
最初は余裕のあったボビーだが、 再就職先がみつかりそうになっても給料はかつての半分だったり、 勤務地が変わって引っ越さなければならないなど条件が合わず。 あっという間に3ヶ月が過ぎる。
もう一人、 クリス・クーパー演じるフィルは60才を越えてリストラされる。 会社の温情は、 ボビーと同じ就職サポートセンターに個室を付けてくれた程度。 この年齢での再就職は想像以上に厳しく、 思わぬ結末が待っている。
同社のナンバー2であった男も、 この経緯のなかで、 大学時代からの親友であったCEOと衝突することとなる。 ナンバー2のはかなさがよく出ているし、 トミー・リー・ジョーンズの情けな顔がベストマッチ^ ^
高給取りは会社を追い出されてアイデンティティを失い、 失業していることを隠し、 自分に何ができるのかわからなくなる。 たいていの奥さんはそんなとき冷たい顔をするだけなのだが、 ローズマリー・デウィット演じるボビーの奥さんは根性が座っている。 ボビーのゴルフクラブの会員権をさっさと売り払い、 家まで売ろうと言う。 息子もできた息子で、 注文したX-BOXを返品する^ ^
エントリータイトルの You have me. は、 すべてを失ったボビーに彼女が言う言葉。 "私がいるじゃない" と。 そんな奥さんの兄は大工なのだが、 ボビーは渋々そこで使ってもらうことに承諾するが、 プライドも何もかも捨てヘトヘトになって働くとき、 初めて自分自身の力に気づく。 この大工役がケビン・コスナーで、 頑固そうなオッサンを好演。
ナンバー2はナンバー2であることをやめ、 叩き上げの頃を思い出すかのように、 時代遅れと言われる事業を買い取って立て直すことを決意。 ところどころで出てくるアメフトのボールは、 古き良き時代を象徴してるのだろうか。 浮ついた経済の表層だけでなく、 自分の力で稼ぐことの難しさと意味を問いかけるような視点に映画らしさを感じた。 良作、 乞うご期待!
カンパニー・メン THE COMPANY MEN (2010) 日本公開2011.9/23~ 公式サイト
監督 ジョン・ウェルズ 象のロケット
ベン・アフレック ケビン・コスナー トミー・リー・ジョーンズ
クリス・クーパー マリア・ベロ ローズマリー・デウィット
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