11.17.2010
歳月を飛び越えるものは? 「愛する人」
「美しい人」 (2005) は長いワンカットが鮮明に記憶に残っているし、 Nine Livesという原題からかけ離れた邦題以外は印象的な作品だった。 Mother and Child というロドリゴ・ガルシア監督の新作はまたしても原題とかけ離れた、 おまけに先の出世作とお揃いの邦題となったが、 母と娘という部分にはしっかりすぎるほどフォーカスされた いいドラマ。 だが 「愛する人」 とすると軽くなった気がするのはなぜだろう。
14歳の少女が出産、 しかし生まれた娘はすぐに里子に出される。 そのシーンの直後、 いっきに37年が過ぎ去る。 少女は初老の女性となり、 老いた母と二人暮らし。 娘が気むずかしい女となったのも私のせいだ、 母はそんな言葉を残してこの世を去る。
里子の娘は女弁護士としてキャリアを誇っていたが、 17歳の頃にすでに里親を亡くし、 それからずっと一人で生きてきたと話す。 長い歳月を経て初めて母娘は出会うのだろうか・・。 一方、 子供を授からない夫婦は養子探しに奔走していたが・・。
先の出世作のような長回しに走ったりはしないが、 独特のテンションを持つ演出で描かれる母と娘の絆。 少なくはない登場人物の 誰一人として軽い役割の者がいないという点もすごいが、 なかでもアネット・ベニングの演技が光っている。 こういうドラマを '父' が見ても軽い嫉妬を覚えるだけとも言えるが^ ^ 娘を持つ母ならずとも見ごたえのある作品。 母になったばかりの人、 近々 母になる人が見たら、 一生ものの作品となるかもしれない。
ナオミ・ワッツも久々の はまり役と言えるし、 会ったことのない母子が外見だけなく、 激しい気性を秘めた感じが どことなく似ているのも、 よけいに痛々しい。 サミュエル・L・ジャクションだけはミスキャストという気もしたが、 お正月に帰省して ひさしぶりに母の顔を見た後 映画館へ、 というのもオツなものかもしれない。 乞うご期待^ ^
愛する人 Mother and Child (2009アメリカ・スペイン) 日本公開2011年1月
脚本・監督 ロドリゴ・ガルシア 公式サイト・予告 象のロケット
ナオミ・ワッツ アネット・ベニング ケリー・ワシントン
ジミー・スミッツ ブリタニー・ロバートソン タチアナ・アリ
ラターニャ・リチャードソン サミュエル・L・ジャクソン
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