7.24.2010

浦島タローズ 「脳内ニューヨーク」



忘れていた作品。 2年も経ってしまうと何となくタイムラグを感じるものだ。 フィリップ・シーモア・ホフマン演じる このケイデン・コタードのように。

ケイデンの時間はどんどん おかしくなっていく。 数週間のつもりが気づけば17年、 小さかった娘はすでに大人になり、 それどころか自分より早くこの世を去ろうとしている。 人生は失望と悲劇。 特別だと思っていた自分はすでに壊れかけの老体で、 未だ何事をも成し遂げず。 地上にごまんといるそんな人間の一人に過ぎないのに、 そのくせ孤独だけが自分を覆い尽くす。

ちょっとダラダラとした自己投影の物語。 それなりに共感もあるしディテールも面白いのだが、 どこかで聞いたような話だなとも思った。 そうだ、 浦島太郎・・ しかしこの浦島太郎は実はそれほど孤独ではない。 "この世界に何十億といるキャスト しかし誰一人としてエキストラではない みな自分という人生の主役なのだ" そんなセリフ通りに老いと死を共有していくのだから。

今回カウフマンは脚本だけでなく初監督ということで、 力作ではあるが浦島太郎ほどショッキングにはならず。 まったりと、 わびしさを噛みしめるだけの作品となっている。 '脳内' という邦題とともに日本ウケを狙ったポスター (下DVDジャケ) だけが、 やはり かなりズレている。 ビジュアル自体はポップで悪くないが、 海外の他のポスター (上、下1・2) と見比べると別の映画にも思える。 あんまりガチガチに統一するのもつまらないだろうけど、 果たしてこの日本独自のポスターをカウフマンは見たのだろうか。 見たならどう思ったのだろう。 次回作にそんなエピソードが出てきたりしたら楽しいのだが。 。



脳内ニューヨーク Synecdoche, New York (2008) 日本公開2009 
脚本・監督 チャーリー・カウフマン  公式サイト 象のロケット 
フィリップ・シーモア・ホフマン サマンサ・モートン 
ミシェル・ウィリアムズ キャサリン・キーナー トム・ヌーナン 
脳内ニューヨーク [DVD][DVD]

抱擁のかけら [DVD] (500)日のサマー [DVD] バッド・ルーテナント [DVD] マイレージ、マイライフ [DVD] 渇き [DVD]

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