3.27.2010
サーシャは落ちる Slovenka
気まぐれで見たが、 なかなか面白かった。 東欧+ドイツという国籍の作品で、 そのあたりの情勢にも関心がないわけではないが、 まずは危なそうな匂いに引かれて見たわけだ。 だが意外にコミカルでオフビート、 映画としての 'てにをは' も きちっとしている。 日本では噂も聞かないが、 ヨーロッパ、 北米、 南米、 韓国では映画祭を中心に少なからず見る機会があったようだ。
言語はスロヴェニア語と英語で、 スロヴェニア語部分には英語字幕が付くかたちとなっている。 たいていの英語字幕は日本語字幕より はるかに大ざっぱで、 これも例に漏れず。 頭の中でニュアンスを加筆しながら見ないといけないが、 それもまたいいだろう。
スロヴェニア・・ EUに加盟してからは渋滞や犯罪が増えたわりに、 経済成長は滞っている様子。 主人公はこのスロヴェニアの女子大生サーシャ。 母は出て行き父と二人暮らしだったが、 進学後は大学のあるリュブリャナという街に出てきた。 電車で数時間の距離らしい。 そして現在、 夜は密かにコールガールをしている。 新聞に3行広告のようなものを出して、 個人で営業している。 たいていはホテルに出向き、 さまざまな国籍の客とは英語と肉体で会話する。 大学のシーンでは英語教育に力が入れられていることがわかるが、 それはこのビジネスにも立派に活用されているわけだ。
ときどき都会の暮らしに疲れると、 父の元へ帰ってくるサーシャ。 若い頃の父はバンドをやっていたらしく、 しかも志向はアメリカン・ロック。 父が話があると言うので何かと思うと、 バンドを再結成するとのこと。 あきれ顔のサーシャ。 だがラストで演奏されるフランク・ザッパの "Bobby Brown Goes Down" (下に貼り付け) が、 すごく上手く使われている。 父が演奏するライブハウスの外で、 漏れる音に合わせてポツリポツリと口ずさむサーシャ。 甲斐性のない父だが、 サーシャは本当は父が好きなのだろう。 その証拠にタバコの吸い方がそっくり。
サーシャはフラットを買う。 日本で言うとマンションだろう。 かっこいいインテリアの1LDKなのだが、 大学生には高い買い物。 これをローンで買ったので、 月々の支払いのためにサーシャは夜のバイトにさらに精を出すことに。 だが そう上手くいくはずがない。 客が心臓発作で倒れたり、 ポン引きに目をつけられたり、 知った顔が客だったり、 また妻帯者の元カレからも しつこくされたりする。 夜のバイトが祟り、 勉強に身が入らない。 追試で何とか凌ごうとするが それもままならず、 あげくは教授に色仕掛け。
ついにはローンの支払いを滞らせてしまう。 それでも出まかせの得意なサーシャは支払いを猶予させ、 悪戦苦闘して 手に入れた部屋を守ろうとする。 心臓発作で倒れた客は欧州議会の人間であったため、 警察からは参考人として捜索される。 すべてが悪い方に転がり、 そして・・
実家から大学へ戻るときに "これアイロンかけといたよ" と服を渡す父。 幼なじみの青年からは "小学校の頃から君を映画に誘いたかった" と告白される。 男たちはみんなサーシャが好き。 マンディ・レインのように。 サーシャの上目使いは確かに可愛い。 だが幼なじみの青年だけに見せる笑顔はさらに魅力的だ。
ちなみに彼女は200ユーロ。 彼女を買う中年の男たちの表情もリアルで、 珠玉の・・ と表現するには汚れた映画、 だが なかなか素敵なニュアンスに満ちた佳作。 いつかレンタル屋ででも見かけたら手に取ってやってほしい。
スロベニアの娼婦 Slovenka/Slovenian Girl
(2009 スロヴェニア・ドイツ・セルビア・クロアチア・ボスニア ヘルツェゴビナ) 日本未公開
監督 ダムヤン・コゾレ
ニーナ・イヴァニシ ピーター・ムセフスキ プリモス・ピルナット
マルサ・キンク ウロス・フュルスト デヤン・スパシック
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2 コメント:
こんばんは!
スロヴェニアな作品ですね。でも製作国がハンパでないようで、なんとセルビアまで入ってる^^;。少なくともこれらの国では普通に公開されてるってことかな。
この国、社会主義から抜けても、長い歴史からイマイチ楽観的にはなれないそうですね。個人レベルにいくほど、この作品の様な影が渦巻いてるような気がします。
そんなこと微塵にも感じさせない元気一杯な4人組なんてのもいますけどね(笑)。
ぜひ観てみたいですが、日本でも発売やレンタルされるのかな。「セルビアン・フィルム」もありますし、これからこの地方の作品が元気付いてくれるといいですね。
ガツン!×5ヶ国分の応援いきますー♪凸
>umetraman さん
チェックしていただいたんですね、ありがとうございます!!
ヨーロッパやアメリカでは映画祭が中心のようですけど公開されていて、英語版のDVDもすでにあります。 日本が文化までガラパゴスにならないためにも、DVDスルーでいいから早く仕入れてもらいたいものです。
応援THANX!!
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