1.04.2010
夕食は魚ね・・ 「ジョンとメリー」
名作劇場を1本、 紐解いてみた。 「ダーティ・メリー・クレイジー・ラリー」 でも "ケンとメリーのスカイライン" でもなく、 ジョンとメリー^ ^悲恋物語のようなDVDジャケではあるが、 むしろ正反対。 ありふれた日常のNYローカルな物語で、 60年代末のNYに飛んで行けると同時に、 40年以上経っても決して古くなっていない感覚に驚かされる。 日本では80年代以降だろう、 こういう感覚が登場したのは。 "ライト感覚" なんて表現があったな。 あるいは粘着力の弱くなった人間関係。 そんなベクトルの元祖のような映画。
ジョンとメリーというのは、 ありふれた名前の代表として選ばれたのだろう。 バーで出会ってから1日後のラストシーンまで、 お互いの名前も知らないことになっている。 インテリア・デザイナーのジョンはウェストサイドのリバードライブに、 らせん階段で上がるロフトつきのカッコイイ部屋に住んでいる。 何人かの女が転がり込んでは去って行った。
メリーは画廊に勤め、 住まいはイーストサイドで女友達とルームシェア。 犬連れの多い街で、 通りの時計は止まったまま、 刺殺は週1件程度と彼女は話す。 つきあった男は既婚者ばかりだったから、 帰る時間を気にしなくていいジョンの家では、 ふと昼寝などしてしまう。
ドラマの大半はジョンの部屋で進行し、 お互いの回想シーンが交互に入る。 二人は、 再び傷つくのを恐れてストレートには接近できない。 朝食にはオーガニック店で買った卵と美味しいコーヒー。 ブラスバンドのLPを聴き、 ランチにはミートパイ。 料理はすべてジョンが作り、 料理する男は当時としては物珍しがられたりする。 じゃ夕食は魚ね、 と口走ったメリーは、 それが長年連れ添った夫婦のような会話であることに照れる。
モデルの元カノからの電話、 突然の雨。 メリーはここも自分の居場所でない気がして、 バスルームの鏡に電話番号を書いて部屋を後にする。 ジョンは元カノのパーティに顔を出すが、 やはりはそれはもう過ぎ去った時間に過ぎない。 イーストサイドにタクシーを走らせるが 正確な住所がわからないので、 彼女の話に出てきたような場所を徘徊する。 だが彼女は見つからず・・。
若いダスティン・ホフマンは、 男ながら あらためてシネマトジェニックだと思うし、 このミア・ファローはファニーよりキュート多めで みずみずしい。 レコードは当然ながらアナログで、 携帯電話もない。 にもかかわらず都市型生活者の機微、 映画のようにはドラマチックに展開しない恋、 そういうものを映画にした最初の作品かもしれない。 これが1969年の映画なのだから、 よく考えれば かなりスゴイ。 「卒業」 の2年後、 あるいは 「ローズマリーの赤ちゃん」 の1年後にこんな映画があったのだ。
ジョンとメリー John and Mary (1969)
監督 ピーター・イエーツ 音楽 クインシー・ジョーンズ
ダスティン・ホフマン ミア・ファロー
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