4.11.2009
SFなのか?! 「イキガミ」
昔のSFは暗かった。 「スター・ウォーズ」 以降、 SFと言えばスペース・ファンタジーの略語と思っている人もいるようだが、 そもそもはサイエンス・フィクションの略だったわけだ。 「ソイレント・グリーン」 「赤ちゃんよ永遠に」 は未来の人口過密を悲観していたし、 "ニュートリノ系" なんて言葉がカッコよかったけど、 物語は人類そのものを悲観したような 「惑星ソラリス」、 逆スクロールするクレジットから始まる 「THX-1138」 ・・ 挙げればキリがないが、 みんなよかったなあ。
この映画はコミックを原作にした、 何の略かは知らないTBS製作の、 SFではある。 前述の映画と同じ系譜に連ねることは不可能だが、 唐突な設定がなされた近未来あるいは架空の世界という点では、 ある種の懐かしさを覚える。 "国家繁栄維持法" という法律によって18〜24才の若者の1000人に1人が死ぬ運命にあり、 その恐怖から犯罪数・自殺者数は減少、 出産率は上昇して国家繁栄をもたらしているという。 それくらいの率は現在でも病気あるいは事故によって死んでいるのではないかと思うし、 繁栄のロジックもいまひとつよくわからないが、 とにかく管理社会なのだ。 死までを管理する、 言わば宝くじ死刑国家。
子供の頃、 予防注射のように打たれる薬剤の中に、 時限ナノロボットが仕込まれていて、 そのときにすでに運命は決まっている。 この注射を拒否したり、 法律に異議を唱える者は思想犯として人格改造を受けさせられる。 そして宝くじに当たってしまった者は、 死の24時間前に通知され、 わずかばかりの気ままを許されるのだが、 この通知のためだけに相当な人件費や予算が割かれる国家が、 はたして繁栄しうるのか。 。
死を前にした者の行動や心情だけを抜き出すと、 いわゆる余命宣告ものと大差はない。 それでもそのあたりはそれなりに上手い。 悪法への疑問や戦いは続編に持ち越されているようすだが、 架空国家の映像的描写にはあまり新鮮味がなく、 絵的にはテレビドラマにしか見えないところが、 いまいち酔えない部分か。
イキガミ (2008日本) オフィシャルサイト&予告編
監督 瀧本智行 原作 間瀬元朗
松田翔太 塚本高史 山田孝之 成海璃子 佐野和真
劇団ひとり 柄本明 笹野高史 佐野和真 風吹ジュン
【 無料で見れないかチェック! 】
【 Amazonプライム・ビデオですぐ見る 】
0 コメント:
コメントを投稿