50年代の物語とは言え、タバコを吸うシーンがやたらと多い。 レストランや家ではもちろん、 会社でも席に着くなりタバコに火を付けたりしているのが懐かしくさえ思える。 ジャズと煙の時代に、 このように今日的なテーマが眠っていたのか、 あるいは現代的に脚色されたのかは原作を読んでいないのでわからないが、 "すべてを捨ててパリでやり直しましょう" なんてフレーズが響くのは、 あの時代だからだろう。 今、 仮にそんなセリフを吐いてみてもリアリティはないし、 あの時代ですら半ばジョークであり、 にもかかわらず、 そのセリフに込められた意味はいっそうの現実味を持って、 劇場の椅子にうずくまる者の心のどこかをうずかせる。
「アメリカン・ビューティー」 「ジャーヘッド」・・ サム・メンデスは無駄なくビシッと決めてくるね。 「タイタニック」 以来の二人もいい。 悲劇的な予感は、 どん底まで落とされることはなかったし、 映画自体あっという間に終わってしまった気さえするが、 大河ドラマではないとわかって観れば拍子抜けすることもないだろう。 むしろ、 どこにでもある小さなエピソードなのだ。
結婚生活7年、 二人の子供。 数年前にこのレボリューショナリー・ロードの家に越してきて、 夫はサラリーマン、 妻は諦めきれない夢を追って小さな舞台ながら女優を続けている。 この暮らしに不満をもらす夫ではなかったが、 ある日、 妻の言葉によって事態は一変する。 "パリへ行きましょう" ・・
それはかつてあなたが語った夢であり、 今が最後の可能性かもしれない。 当分の間は私が働くから、 あなたはやりたいことを探せばいい・・ 突然の提案に夫は、 現実的じゃないと言い、 とまどいながらも最後には決心する。 決心した二人には生き生きとした輝きが戻り、 どうせ辞めるからと乱暴に片付けた仕事が、 こともあろうに評価される。 昇進、 ビッグビジネス・・ 人生の皮肉を体現するかのように、 今度は妻が妊娠。 それでもパリ行きを決行するか、 あるいはここで幸せをつかむか。 再び迫られる選択に二人は揺れ動く。
宣伝に惑わされずとりあえず見て、 あとから映画の宣伝を見てみると、 かなり違和感を覚える。 そんな映画じゃない。 '燃え尽きるまで' もいらな〜い。 映画をとりまく周辺事情には修正されるべき要素が多々見受けられるが、 いい映画ゆえにギャップも大きくなってしまうのかもしれない。 ちなみにウィンスレットは実生活ではメンデスの奥さんなので、 その彼女に売れない女優役をやらせていたり、 ラストシーンの老夫婦、 妻の長話が始まると補聴器の音量を絞る夫にも メンデスの悪意を感じなくはないが、 うまく後味が調整されていてさすがだなとも思う^ ^ 公開中、 ぜひ劇場へ。
レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで (2008アメリカ・イギリス)
REVOLUTIONARY ROAD 1/24〜 公式サイト&トレーラー
監督 サム・メンデス 原作 リチャード・イェーツ 「家族の終わりに」
レオナルド・ディカプリオ ケイト・ウィンスレット キャシー・ベイツ
マイケル・シャノン ゾーイ・カザン
スペシャルエディション [DVD] powered by G-Tools |
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