4.22.2014

若いって素晴らしい The Spectacular Now



(500)日のサマー」 のライターが贈る、 ということでアメリカではかなりの注目作。 自分的には何となくデブデブっとした印象で、 リアリティというより、 たまたま ぷっくりキャスティングになってしまった感じで、 しかもティーンエイジものだし、 まあ いちおう見てみっかという程度だったが、 さすがに それなりにはいいかな。

ジェレミー」 (1973) という今となってはほとんど誰も知らない作品をふと思い出したが、 あれは中学生だったか・・ こちらは高校を卒業してゆく年代ではあるが、 ティーンというのはあらためて、 まだまだ親の影響下にある年頃なんだなと。 「ジェレミー」 では親の転勤一発で初恋は終わり、 ここでは親にガツンと言ってやれ、 ということで二人は接近する。 また進路の違いで、 あらかじめ離れ離れになる運命だ。 にもかかわらず純粋に相手を思いやり、 そのことで自分を発見するという王道の青春ものがアメリカでは当たっている。

ハリウッドが内向きになったと言われるが、 インディペンデントも例外ではなく、 しかしながら内側に問題を抱えたまま外を向くわけにもいかず、 必要な過程と言えるかもしれない。 アメリカ社会はどこかの高齢化社会とは違うということだろう。 そして演出の一環かBlu-rayの画質のせいか、 ティーンから年寄りまで、 みな肌が汚い。 サターの姉さんと、 ドレスアップしたプロムの夜の二人はキレイにメイクアップされているが、 ほとんどの出演者がほぼ全編すっぴん? まさかメイクさんのギャラを節約したためじゃないだろうな。 。 等身大は感じるものの、 酔えない部分もあることは確か。 それこそ青春か。

これを日本のティーンにぶつけても受けないように思うし、 ましてや年寄りが甘酸っぱく青春を振り返ることもできない。 そういう意味でもマーケットはアメリカ国内、 あるいは青春している国だけに限られる内向きな作品と言える。 プロムの夜にサターが口走る “若いって素晴らしい”、 そんなセリフは‥ そうだな70年代くらいまでの映画やテレビでは日本でもまだ聞かれたものだが、 若者が減っていく国というのはやはりどことなく寂しい気がする。 いい年こいたオッサンのほうがどこか青春してて、 若者は冷めまくっていると、 やりづらいじゃないか・・ ということを考えるにはいい作品か。 乞うご期待。



The Spectacular Now (2013) 日本公開未定
監督 ジェームズ・ポンソルト 
脚本 スコット・ノイスタッター+マイケル・H・ウェバー 
原作 ティム・シャープ 
マイルズ・テラー シェイリーン・ウッドリー ブリー・ラーソン 
メアリー・エリザベス・ウィンステッド ジェニファー・ジェイソン・リー 

4.21.2014

まさに電脳 “Banshee Chapter”



かつてCIAが行ったとされる薬物による洗脳実験。 被験者が見たものは幻覚ではなく、 薬物が触媒となって脳を受信機に変える。 そこへ異次元から何者かが転送されてくる・・ といったラヴクラフトライクなプロット。 一部では評判らしいが、 うーん、 まあまあといったところ。 全体的にはやや散漫なのに、 不気味なものが出てくるタイミングは、 裏の裏をかかれて少しビビる^ ^

ドキュメンタリー調が半分、 作家を訪ねて行くあたりからはラフなドラマ調となって、 あとの部分のほうが面白い気もするが演出力不足が露呈するとも言える。 作家のキャラはまあまあ、 ヒロインもまあまあ、 これ以上とくに書くポイントもみつからないが、 次回作に多少は期待を残してもいい監督ではあるかもしれないし、 入り込める人にはじゅうぶん楽しめる作品なのかもしれない。 乞うご期待。




パラノーマル・エクスペリメント Banshee Chapter (2013 ドイツ・アメリカ) 日本未公開
監督 ブレア・エリクソン 
カティア・ウィンター テッド・レヴィン マイケル・マクミリアン 

4.11.2014

ところで何歳? “generation Um...”



例によって見当違いの邦題を付けられ、 さらっとDVDスルー。 IMDbでもポイントは高くないが、 悪くない作品だ。 かつてジェネレーションXと呼ばれた世代があり、 その後ジェネレーションYときて、 Zになるかと思えば Um... アハン? どうでもいい世代ということか。

キアヌ・リーブスのキャラは、 公園のベンチに一人腰かけてボサっとパンをかじっている あの写真の味わいのままで、 いまだにジェネレーションものにハマれるとは凄いことかもれない。 今日もサエない一日が始まると、 折しもキアヌ演じるジョンの誕生日。 ルームメートから How old are you anyway?と聞かれるが、 自分の歳すら忘れているようす。 高校生の時にオールAを取っていた青年は、 母を失望させた以上に自分に失望していた。

実年齢は同じくらいだと思うが、 青年は夕方起きてパーティガールの送迎などという仕事をしている。 独身最後のバチュラーパーティなどに呼ばれるライト風俗嬢をステーションワゴンで送り迎えするのだ。 朝帰りの青年はNYの街角でフラッシュモブらしきパフォーマンスに遭遇するが、 何を思ったか彼らが持っていたビデオカメラをさらっと盗む。 それからというもの世界にカメラを向けることが面白くなり、 高じてパーティガールたちの胸の内をドキュメンタリーしてしまう、 というような一風変わった展開。 またしてもフェイクドキュメンタリーではある。

青年は突如インタビュアの才能を開花? 彼女たちは次々と自分のことを話し出す。 それは初体験とか男の数とか、 母との確執とか父への想いとか、 それほど大した話ではないが、 実際にドキュメンタリーを見ているような気分にもなってくる。 しかしこのことで状況が変わっていくわけでもなく、 まあ何とか楽しくやってます、 的な終わり方となる。 途中でちらっと登場するパーティガール派遣業の元締めのような若造が、 ジョンをからかいながら “妥協も悪くないよ、 人生なんてクソだと思った瞬間、 本当にクソになるんだから” みたいなことを口走るが、 そんなメッセージを込めてUm...世代を励ます映画と言えるだろう。

'ボサっとキアヌ' はもちろん、 どことなくミシェル・ウィリアムズ似のアデレイド・クレメンスも注目に値するだろうし、 ボヤナ・ノヴァコヴィッチの寝姿もカワイイ。



シークレット・パーティー generation Um... (2013) 日本未公開
監督 マーク・マン 
キアヌ・リーブス アデレイド・クレメンス ボヤナ・ノヴァコヴィッチ