1.29.2014

働くソンビ 「Miss ZOMBIE」



ゾンビでXXXするのは初?と書いた先日のコレの感動も冷めやらぬうち? 日本でも “コワモテスター” ことSABU監督がやっております^ ^

昭和風な雰囲気漂うモダンなお屋敷、 その使用人だった娘がゾンビとなって帰ってくる。 ソンビになっても雇用される。 しかも給料は更に安くなり、 腐ったじゃがいも数個。 そうか、 ゾンビは格安で働く労働者か・・ と言いつつ、 イマイチ納得できない設定。 しかしながら独特のムードは漂っている。

モノクロ映像、 ソンビもどことなく四谷怪談風。 さらにこのメイドゾンビは生前、 子供を宿していたがゾンビとなった今、 お腹には傷跡だけが残っている。 お屋敷の坊っちゃんが池でぼっちゃんと.. 溺れたとかで、 父は医者なのに出番がなく、 ゾンビに噛ませて蘇らせる。 それからというもの、 坊っちゃんはゾンビを母にように死体、 いや慕い、 ゾンビも坊っちゃんをなくした子供のように可愛がる。

この状況に嫉妬した母は銃を持ってゾンビを追いかける。 今回は走らないのかと思っていたら、 走りました! さらにはここで画面が濃厚なカラーに。 狙われていた演出ではあるものの、 意外と効果的で、 血を吸うのは吸血鬼だろ、 とツッコミたくなったし、 概ね、 別にゾンビでなくてもいい気はしたが、 女優陣のやる気に助けられて、 意欲的な異色作に仕上がっている。 ただマーケティング的なとっかかりが少なく、 ヘンな映画ありますよ、 で終わってしまいそうなところが惜しいといえば惜しい。

しかしながらチラッと富士山が映る不思議なロケーション、 手持ちカメラの微妙なアングルなど、 シビれる部分もなきにしもあらずなので、 よければレンタルリストに入れていただいて、 SABU監督の次回作にも期待しよう。


Miss ZOMBIE (2013日本) 公式サイト
監督 SABU 
小松彩夏 冨樫真 手塚とおる 

フラットデザインな映画 「オール・イズ・ロスト」



この映画を画像検索するとシワシワのレッドフォードの顔とともになぜか、 胸元ギリギリのドレスに身を包むイリーナ・シェイクやらオレンジのシャドーで投げキッスをするバーバラ・パルヴィンが出てくるのだが^ ^ カンヌのプレミアということか・・ まあ、 それはさておき、 ジイさんの域に達しているレッドフォードが老体に鞭打って演じる漂流者がなかなか素敵。

中国の貨物船の落とし物と思われるコンテナにヨットをぶつけ、 船体に穴を開けてしまう。 男はそれでも接着剤やらビニールで応急措置をし、 手動で排水して何とかヨットを立て直す。 しかし無線は壊れ、 食料も水も余裕がないところ、 行く先には暗雲が。 ヨットは転覆し、 マストが折れ、 やれやれという表情で救命ボートを引っ張りだす。

登場人物はレッドフォード一人で fuckぐらいしかセリフもなく、 訪れる災難に “何でこんな目に” と思いながらも、 できうる限りの対処をする。 だが、 そんな男の的確なサバイバルをあざ笑うかのように次々と苦難は訪れる。 特定の実話がベースになっているわけでもないようだが、 細部にはリアリティがあふれ、 表情とジェスチャーだけで演技するレッドフォードが味わい深い。

救命ボートで大海原を漂い、サバイバルグッズを傍らに極めてシリアスな状況にあるにもかかわらず、 どこかペーソス漂う漂流者、 目を覚ますと目の前に大きな船が。 しかし発煙筒を焚いても気づかれず。 そろそろ年貢の納め時かと元妻?に宛てて手紙を書き、 瓶に封入して海に流す。 すべては失われた、 君への愛だけが僕の人生だった・・ すべてを失っても最後のあがきだけは失わず、 果たしてこのまま海の藻屑と消えるか、 それとも。

ゼロ・グラビティ」 といい、 このところ、 こうした登場状人物の少ない、 シンプルなプロットの映画を目にするが、 映画もフラットデザイン化しつつあるのかもしれない。 一旦、 余分なものを捨ててみるというマイナスの発想はいい傾向ではないかな。 3Dとフラット、 両極に振れる映画の一方の極みのような映画。 乞うご期待!



オール・イズ・ロスト 最後の手紙
All Is Lost (2013) 日本公開2014.3月予定
監督 J・C・チャンダー 
ロバート・レッドフォード 

1.21.2014

No regrets Not one 「ラッシュ」



いやあ、 これは簡単に書けないなあ、 書くと邦題の蛇足みたいになってしまうし。 70年代のF1、 ジェームズ・ハント、 ニキ・ラウダ。 詳しくはないが、 へえ、 そんなところから持ってくるか、 さすがワーキングタイトル、 って感じ。

ライバルと言われる二人は、 キャラも走りもまるで正反対。 レースで会うといつも牽制しあっていたが、 事故後のラウダの顔を笑う記者をハントは殴り、 若くしてこの世を去ったハントをラウダは唯一尊敬し、 嫉妬した男だったと話す。

自信家で周りからは浮くのは二人に共通の要素としても、 家族からは縁を切られ、 それでも選んだ道で認めさせ見返してやるというメンタルも極めて似ていて、 正反対で似たもの同士は概ね本質的に孤独だった。 それだけと言えばそれだけだが、 そのシンプルな構図がすがすがしくもあり、 とりあえずは今のところ今年のナンバーワンだ。

ニキ・ラウダはオーストリア人ということで、 これを演じるダニエル・ブリュールもゲルマンな雰囲気だなと思っていたら実はスペイン人だった^ ^ (訂正:お父さんはドイツ人、 お母さんはスペイン人でした、 失礼) いちおう主役はハントのようだが、 ラウダについても詳細に描かれ、 両主役、 あるいはラウダが主役と取ってもいいくらい。 とくに事故後1ヶ月ほどでレースに復帰する異常さには誰もがビビったが、 実際のエピソードであることを思えばさらに感慨深い。

そんな彼からの言葉、 後悔は微塵もない (No regrets. Not one.) は改めて生き方の奥義だなと思う。 もうすぐ公開、 乞うご期待!


ラッシュ プライドと友情 RUSH (2013) 日本公開2014.2/7
監督 ロン・ハワード  公式サイト・予告 象のロケット
クリス・ヘムズワース ダニエル・ブリュール 
オリヴィア・ワイルド アレクサンドラ・マリア・ララ 

1.13.2014

キュートなゾンビでXXX “THE BATTERY"



一部で絶賛されている変わり種のゾンビもの。 ゾンビはかなり飽きているものの、 性懲りもなく見てみた。 ゾンビ映画がそもそも持っていた終末感が、 今っぽい“どん詰まり”感に翻訳されていて、 多少の新鮮さはある。

気づけばゾンビ化してしまっていた世界、 男二人は行くあてもなく旅を続ける。 二人は世界がこうなるまでは野球選手で、 ピッチャーとキャッチャーだった。 と言ってもピッチャーは補欠だったので息の合うコンビとは言いがたく、 腐れ縁で何とかやっているといった感じ。 そのユルいやりとりとスローなゾンビの動きで緊張感や恐怖感をかなぐり捨て去ったあとには、 倦怠感と窒息感だけが残る。

無線で他にも生存者がいるらしいことを知るが合流を拒絶され、 その女の声に切なさを抑えきれなくなったピッチャーは、 迫り来る、 元は可愛かったであろうホットパンツのゾンビで思わず抜いてしまう。 このようなヘンテコな展開はゾンビ映画数あれど新境地かもしれない^ ^ しかしやがて旅も行き止まりに到達、 大量のゾンビに囲まれ車内に閉じ込められた二人は、 酒をあおり、 タバコを吹かしてバカを言い合うしか、 この現実に対抗する手段がなかった。 そしてついに…

直結のやり方ぐらい覚えておけばよかったな、 と言ってもすべては後の祭り。 日本公開未定、 乞うご期待!



スウィング・オブ・ザ・デッド THE BATTERY (2012) 日本未公開
監督・出演 ジェレミー・ガードナー 
アダム・クロンハイム 

1.09.2014

例外、優越も制度の一部 “12 YEARS A SLAVE”



明治維新のような邦題がついておりますが、 あちこちの賞レースにいつも出てくる例の作品。 ところどころで長いショットが効いている演出とともに、 さすがにしっかり出来ているようす。 ブラピはプロデューサーとしても名を連ねながら、 さすがにいい役を押さえてる^ ^ 

こちらは実話でもあり全く違うのに、 奴隷ものということでこれがオーバーラップして、 やや食傷気味^ ^ 予想通り抑圧された苦々しい時間が続く。

しかし自分は奴隷でもないのに、 なぜ支配される側の意識がわかるのか考えてみたら、 やはり会社とか、 学校とかだろうな。 奴隷制はなくなったかのように見えて、 実は拡大しているのかもしれない。 資本主義という名の奴隷制が。

バイオリニストとして北部で妻や子どもたちと幸せに暮らしていたソロモン。 おいしそうな仕事に乗ってみたら、 これがとんでもない落とし穴。 しかし奴隷として売られてからも“例外的なニガー”として一目置かれるが、 自らの才能や能力に見合う例外性を取り戻そうとするばかり。 やがてコットン畑で同僚が死に、 そのささやかな葬式でゴスペルが歌われるシーンで、 みんなの深い怒り、 悲しみと一体になる。

ブラピ扮する大工は、 奴隷制はこの国を覆う病のようなものと語り、 しかるべき筋に経緯を伝えてソロモンは開放される。 12年ぶりに帰ったわが家では、 幼かった娘が孫を抱いて長期不在の父を出迎える。

その後のソロモンの活動はテロップで流れるだけだが、 裁判や制度改革は一筋縄ではいかなかったことが想像される。 あとは歴史の通り、 ということだが、 そういうことがあったんだ、 と歴史ドラマの一つとして見てしまえるところが惜しいように思う。 もう少し、 今という時代にペネトレートする何かが欲しかった気もするが、 とりあえず乞うご期待。



それでも夜は明ける 12 YEARS A SLAVE (2013) 日本公開2014.3/7 公式サイト
監督 スティーブ・マックィーン 
キウェテル・イジョフォー マイケル・ファスベンダー ブラッド・ピット 

1.07.2014

この世界と私の場所 “How I Live Now”



冒頭でそんな曲が流れたように思うし、 タイトルバックもワイルドでそれっぽかったから、 70年代っぽさが狙いの映画なのかと勝手に思った。 が、 そういうわけでもなかった。 原作は近未来を描くSF。 しかも場合によっては明日にでも起きそうな近未来。 第三次世界大戦らしい。 。

アメリカからイギリスのいとこの家に遊びに来たデイジー。 遊びなのか疎開なのかは実のところわからず。 しかし疎開の意図は外れ、 ニュースによるとロンドンに核爆弾が落とされたとか。 片田舎のこの地にまで爆風は届き、 核の雪が降る。 それでもこの のどかな風景の中にいる限り、 それは遠い世界の出来事のようで、 いとこ同士は恋に落ちる。 ほどなく戦火は拡大。 兵士がやってきて避難の名のもと、 いとこや兄弟を引き裂いて別々の地にやってしまう。 別れ際“ここに戻ってくるんだ”との約束を残して。

これまでは先進国の十代として進路のことやダイエットに責め立てられていたデイジーだが、 この出来事を通して幸か不幸か平和ボケから目覚めることとなる。 しかしその代償は大きかった。 たった数日の間に世界は破壊され、 多数が死んだ。 やがて何もなかったかのように日常は帰ってきつつあった。

いわゆる原作ノベルの映画化にすぎないかもしれないが、 作品がリアリティを持つ気配が世界には充満しているように思う。 そういう意味で見る意義のある映画だろう。 十代の視点で描かれた戦争、 自分には関係ないかのようなスタンスで描かれながら、 上の年代が見ると、 自分たちに果たして戦争を回避することができるのかという焦燥がからみつく。 焦燥感から希望を見出す光は弱く、 弱いからこそ尊いとも言えるが、 そんな心情に反してのスクリーンいっぱいのみずみずしい描写すら遠い思い出、 死の瞬間のフラッシュバックのように感じる。 乞うご期待。



わたしは生きていける How I Live Now (2013イギリス) 日本公開2014.8
監督 ケビン・マクドナルド 
シアーシャ・ローナン ジョージ・マッケイ 
わたしは生きていける原作
メグ ローゾフ Meg Rosoff

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1.04.2014

不作のシーズン “KILLING SEASON”



新年早々、 可もなく不可もなく^ ^ 二大俳優 初顔合わせはいいが、 こうしてじっくり見ると二人とも老けたなあ^ ^ 二大俳優を揃えた分、 あとは節約ということで、 スクリーンは長時間 二人に独占される。

物語は90年代のセルビアとボスニアの戦争での惨劇。 射殺されたはずの男は一命を取り留め、 20年の歳月を経て復讐に。 互いの傷を突付きながら、 戦争という諸悪を再確認する、 といった内容。 ゲームと言ってしまっている邦題は、 普通に考えてヒンシュクものだろう。

二大俳優である必要は ほぼないのはしかたないとしても、 戦争でのリアルな処刑シーン、 あるいは劇中で話されるユダヤ人女性をかくまうジョークエピソード以上に、 映画本編に吸引力がない。 老体に鞭打って格闘し、 しかめっ面のフォーマットでセリフを言うだけにも見える。 じゅうぶんギャラの分だけは働きましたよ、 って感じで。 テーマがテーマだけに否定しにくいところがまたズルい。

そんな感じで新年がスタートしたものの、 不作は続きそうだな、 乞うご期待^ ^ 何はともあれ、 今年もよろしく!


キリングゲーム KILLING SEASON (2013) 日本公開1/11 公式サイト
監督 マーク・スティーブン・ジョンソン   象のロケット
ジョン・トラボルタ ロバート・デ・ニーロ