11.30.2010

異形の息子 「鉄男 THE BULLET MAN」



20年か。 一つの作品を繰り返し見ることは稀なんだが 「鉄男」 は3回は見たんだよな。 なぜなんだろ・・ サイバー・パンクという形容は当時 新しかったが、 実質はアングラSFと言ったほうがピンときた。 だからヘンテコな部分も逆に魅力だったりした。 ノイズ・ミュージックとともに自分などは勅使河原三郎なんかとオーバーラップして グローバルに通用する感性として注目したものだ。

これがセルフリメイクされると聞いて、 期待するよりむしろ心配した。 バンドが初期の曲をセルフカバーするようなものだからだ。 テクニックは上がって商品としてのバランスがよくなったとしても、 それに何の意味があるだろう。 爆音・轟音を理由に映画館に足を運ぶこともしなかった。 レビューをざっと見てみると概ね、 自分の心配と似たような感想が並ぶ。 で、 ようやくDVD/Blu-rayになって見た。 すると・・

こちらの心配など どこ吹く風で、 意外にしっかり出来てるじゃないか。 画面はキレイになってもカメラは小刻みに振動してるし、 カラーになってもモノクロームな色調・・ 夜だったのでスピーカーを壊すほどの大音響はムリだったが、 音楽も過不足ない感じ。 塚本本人も出演し、 しかもセリフは英語^ ^ おっと田口トモロヲも一瞬出てるね。

オリジナル同様に上映時間は1時間ちょっとしかないが、 それでも不完全燃焼などとは感じない。 やはり桁違いな何かがそこにはある気がする。 ただ桁の違い方が二桁だったのが一桁になった、 そんな感じがしただけ。 世界的な雰囲気づくりも やや鼻につく。 短いので何かの機会にもう一度見るかもしれないが3度見ることはないだろう。 時間とは酷なもので、 タイムマシンが永遠に実現しないというのは本当かもしれない。 でも生きてる以上、 そして何かを作る以上、 今のものを、 これからも楽しみにしてるよ。


鉄男 THE BULLET MAN (2010日本) 公式サイト 象のロケット 
監督・出演 塚本晋也 インタビュー1 インタビュー2 
音楽 石川忠 
エリック・ボシック 桃生亜希子 中村優子 ステファン・サラザン 

11.29.2010

SOS! 「ヒーローショー」



DVDで見ることになった。 そうなると途中で食べ物や飲み物を取りに、 あるいは電話が入って ちょっと中断なんてことは日常茶飯事、 家庭内上映では平気でやっていることだが、 この映画の場合それができない。 それだけ面白いということだろう、 ちょっと中断するのが苦痛な映画というのも、 洋画・邦画を問わず これだけたくさんの映画を見ていても久しぶりのことかもしれない。 ラスト30分というところで、 どうしても止めなければならない用事ができて、 このテンションが維持できるかと悔しい思いで中座したが、 その後も とにかく早く戻りたくて、 戻った早々プレイボタンを押すと一瞬にして元のテンションが蘇った^ ^ そんな不思議な映画だ。

井筒監督は意外に作品が少ない。 それなりの理由があるのだろうが 「パッチギ」 もずいぶん前に思える。 暴力描写が売りのように言われる本作品だが、 銃社会でないがゆえに成立する正統派のパンチとも言える。 銃ではわからない、 あるいはバーチャルでは計り得ない、 これ以上やると死ぬ、 という生身の命への加減の仕方を若者に教えたい。 それは他者に対しても自分自身に対しても・・ そんなメッセージのようにも取れる。

なんとなく拍子抜けする終わり方に、 監督がニューシネマの系譜だったことを思い出すが、 このへんは今の一般の観客には受けが悪そう。 ましてやエンディングに流れるのがピンクレディーの "SOS" だったりすると、 異次元に飛ばされてしまった人もいるかと思う。 自分ですら3.5次元くらいまで飛ばされた^ ^ 甲斐バンドでなくてよかったとは思うが。 。

監督の伝統芸である芸人コンビ抜擢。 ジャルジャルは よく知らずに見ることとなったが、 知らなくても何か特別なリファレンスがあるのは感じられた。 最初は希薄そうに見えたつながりが やがて大きくなり、 それこそがテーマだったと気づく。 そういう意味で引き込みながらも はぐらかし、 言いたいことにきっちりと持っていく よくできたシナリオ。 説教くさくなるギリギリの加減の仕方^ ^

話題の '暴力装置' 自衛隊の元隊員という設定がある。 昔は自衛官募集のポスターなんてあったが、 調べてみると今でもあるんだな、 今風になって。 。 いささか珍しい設定に思えたが、 考えたらもっとあってもよさそうなもの。 アメリカ映画の元・海兵隊的なニュアンスを出したかっただけかもしれないが。

"国なんか守れない でも友情は守ります" そんなセリフとともに映画は加藤和彦氏に捧げられている。



ヒーローショー (2010日本) 公式サイト 象のロケット 
監督 井筒和幸 
後藤淳平 福徳秀介 ちすん 米原幸佑 桜木涼介 林剛史 阿部亮平 
ヒーローショー [DVD][DVD]

ジャルジャル 1st PHOTO BOOK ~IN LONDON FROM JAPAN~ JARUJARU IN LONDON [DVD] やりすぎフェスタ2010 やりすぎ芸人都市伝説 Vol.2 [DVD] ボックス! スタンダード・エディション [DVD] リアル鬼ごっこ2 [DVD]

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11.28.2010

不景気なラブコメ 「遠距離恋愛 彼女の決断」



遅いエントリーになってしまったが、 自分が何か書いたところで客を呼び戻せるわけでもないので よしとしよう^ ^ アメリカにも遠距離恋愛ってあるんだな。 しかしその背景には不景気があった。

彼女は31歳、 スタンフォード大をもうすぐ卒業する予定で、 インターンシップでNYの新聞社に来ている。 かなり遅咲きの就活だが、 これはバリモアの実年齢にあわせた設定と言えそう。 前の恋ですべてを捨てたから人生設計が遅れたと説明される。

ある日バーでギャレット (ジャスティン・ロング) と出会い恋に落ちるが、 ほどなく彼女はサンフランシスコに帰らなければならない。 NYの新聞社に就職できれば万事OKなのだが、 100人リストラしたばかりで新規採用はなくなったと言われる。 ギャレットはレコード会社勤務だが、 担当している売れ線バンドに愛想を尽かし、 自分がみつけたバンドを会社に押すが取り合ってもらえず。 ならいっそのことサンフランシスコ界隈のレコード会社へ転職をと考えるが、 就職口はみつからない。

彼女は大学の推薦で地元の新聞社も受けていたが、 そこから内定を受ける。 しかし半年の遠距離恋愛で疲れた二人、 もうこれ以上、 この状態は無理、 内定は蹴ってウェイトレスでもいいからNYへと思い詰める彼女であったが、 それでは同じことの繰り返しと彼は、 彼女に仕事を取ることを選ばせ、 俺たちは終わりにしようと告げる。

比較的 破綻の少ないストーリーではある。 そこそこ笑えるし、 バーでのゲームの高得点者、 彼の友達関係、 彼女が居候している姉夫婦の家などディテールも効いている。 キャスティングも問題ないはずだが、 なぜか盛り上がらない。 ロマンチックさに欠けるというか、 よく公開されたなとも思える。 しかし、 盛り上がりに欠ける映画も案外いいもんだ^ ^ イヤミではなく、 脚本家や監督の苦労が浮き彫りになって、 そこはかとなく見れる気がする。

The Boxer Rebellion というバンドが実名出演していて、 これがギャレットの惚れたバンド。 本当はイギリスのバンドだが LA本拠地ということになっていて・・ これ以上書くと結末のヒントになってしまうのでこのへんで。

余談になるが、 ポスターの違いを見てほしい。 左下がアメリカ版で右下は日本版だが、 後ろの壁に書かれているかのように文字情報が画面に埋め込まれている。 アメリカ版は上手に埋め込まれているが、 日本版は微妙にパースが狂っている。 壁の素材感も文字に浮き出ていない。 当ブログがよく触れる邦題問題のほかに、 このへんにも配給会社の中途半端さを感じる。


遠距離恋愛 彼女の決断 GOING THE DISTANCE (2010) 10/23~ 公式サイト 
監督 ナネット・バースタイン 脚本 ジェフ・ラ・チューリップ 象のロケット 
ドリュー・バリモア ジャスティン・ロング クリスティナ・アップルゲイト 
The Boxer Rebellion 

11.26.2010

最後の瞬間の小さな顔の歪み・・ 「ソウ ザ・ファイナル」



本日は遅ればせながらコレ。 ホラー好きの自分としては意外にも最初の一つ、 二つを見たっきりなので、 三つめぐらいまでは見たかな、 その後シリーズは続いているようだったが興味はなくなっていた。 でも、 いちおうファイナルということで、 しかも3Dと来たが、 そのへんはどうでもいいとして、 とりあえず見てみたところ、 総集編かなと思わせる内容でもあったが、 あらためてエグいトラップの数々^ ^ 

話はどう完結しようがよしとして、 スリーあたりでクリストファー・ウォーケン似のオジサンがジグソーとわかり、 しかもその後死んだような気もしたが、 また別の犯人がいたわけだ。 しかしポスターにはウォーケン似が出ているし・・ と考えても仕方ない。 とにかく、 この嫌らしいまでに いびつなトラップを楽しもう。 数々の類似作品を生み出し、 シチュエーション・スリラーなどと呼ばれた新ジャンルの先駆だけのことはある。 とにかく痛そうで、 見ているほうも つい力が入る。 トラップに掛けられ者が、 あ ダメだこりゃと思った瞬間の、 小さな顔の歪み、 焦燥と脱力の表情、 このあたりは上手い。

ほんとにすっきり終わりにしてもらって、 まだいけるかと第八弾などを出してこないで、 同じ労力をかけるならまた新たなものに挑戦してほしいところだ。 ポスターはムダに何種類もあるが、 いちばんよくわからない 'ガリバー' を貼っておく^ ^


ソウ ザ・ファイナル SAW 3D (2010ホラー) 10/30~ 公式サイト 象のロケット 
監督 ケヴィン・グルタート 
トビン・ベル ケイリー・エルウィズ コスタス・マンディロア 

11.25.2010

海パンとタイトなドレス・・ 「キス&キル 」



キューティ・ブロンド」 以降、 ラブコメ路線まっしぐらのイケメン監督ロバート・ルケティック。 今回は結婚相手が '殺しのライセンス' を持つエージェントだったという、 いかにもすぎる話のわりには素敵にまとまっているとも言えるし、 はい そうですか、 とも言える^ ^

南フランスはニースへの旅で出会う二人。 カッチャーは いきなり海パン姿でエレベーターに乗ってくる。 坊ちゃんカットのわりに筋骨たくましく、 レディース客へのサービスカットというわけで、 その後ハイグルにもタイトなドレス姿などがあり、 男女平等にサービスしてくれる。

普通の生活に憧れていたカッチャーすなわちスペンサーは、 彼女との出会いを機に裏稼業引退を決意するが、 そう簡単に足を洗えないのは どの世界も同じ。 しばらくは平穏が続いたが、 あるい日、 知り合いだと思っていた男から命を狙われる。 男をかわしても刺客は次々と現れる。 それもそのはず、 スペンサーには2千万ドルの懸賞金が掛けられていた・・ 彼女は、 彼がエージェントだったことを知って最初は怒るが、 やがて彼とともに追っ手を返り討ちにする側に回る。

最後に思わぬどんでん返し (いや思っていたか・・) があるが、 それはさておき、 ハイグルもカッチャーもパパ、 ママもいいのだが、 これ、 キャスティングを全く変えてしまったなら、 もしかしてもう少し弾けたかもしれないな。 企画以前に配役が決まっていた感じの予定調和なラブコメ、 乞うご期待^ ^



キス&キル KILLERS (2010) 12/3~ 公式サイト・予告
監督 ロバート・ルケティック  象のロケット 
アシュトン・カッチャー キャサリン・ハイグル 
トム・セレック キャサリン・オハラ 
キス&キル [DVD][DVD]

GAMER-ゲーマー- [DVD] ネスト [DVD] ロビン・フッド ディレクターズ・カット版 (2枚組) [DVD] アンストッパブル ブルーレイ&DVDセット〔初回生産限定〕 [Blu-ray] デイブレイカー [DVD]

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11.23.2010

そこが [ネック]^ ^



しんしんと雨が降る日はホラーに誘われる。 自分としたことが、 しばらくホラー 見てない。 。 そう言えば邦画も遠ざかってるな・・ ということで取り出したる この一枚。 (発売・レンタルは2月予定) まあ、 わかってはいたが見事に期待を裏切ってくれて、 でもある意味では期待以上だったかもしれない。

裏切ってくれた部分は怖くないということ、 出てくるモノがどこかで見たことのあるものということ。 中盤までは悪くない気もしたが、 後半のドタバタは幼稚すぎる。 期待以上という部分は、 それでも じゅうぶんに考えられた企画であると言うこと。 企画力の弱い昨今の日本映画のなかでは、 意外に考えられているようす。 結果、 それなりにヒットしたらしいし、 舞台版などへも展開されたもよう。

首だけ出しているビジュアルはステレオタイプであるものの、 いきなり持ってこられるとインパクトは十分。 マッドサイエンティスト味も少し入れ、 人形系のホラーへ振っていくあたりは予想外。 ホラーコメディという路線もトレンドに乗っている。 美術はキレイだし、 演出は可もなく不可もなく。 相武紗季がやたら壊れた "のだめ" のように作られているのはイージーすぎるが、 キャスティング自体も悪くない。

とまあ ここまで書いて、 書きすぎたかなと微妙に虚しくなる。 それはつまり全部が中途半端、 '振り逃げ' なのだ。 首実験は結論があいまい、 幼なじみがメインなのかと思いきや深読みしすぎだったし、 キャラもギャグも浅すぎる。 しかし商品としてはこれでいいのだろう。 これが大多数の日本の観客が求めるもので、 それに的確に応えているにすぎないのだから。

小学生の頃のエピソードが比較的良くできていたように思う。 男の子の背中に乗っかって髪をクルクルする杉奈・・ 他の登場人物はすべて取っ払って、 大人になった二人のラブコメなどにしていたら意外にイケてたかもしれないな。 そもそもなぜホラーにする必要があったのか、 そこがネック^ ^


NECK [ネック] (2010日本) 公式サイト 象のロケット 
原案 舞城王太郎 監督 白川士 
相武紗季 溝端淳平 栗山千明 細川茂樹 鈴木一真 平岡祐太 
NECK[ネック] [DVD][DVD]

告白 【DVD特別価格版】 [DVD] 告白 【DVD完全版】 [DVD] 瞬 またたき [DVD] シーサイドモーテル [DVD] 東京島 [DVD]

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