8.28.2010

どこかパリ的なNY 「ニューヨーク, アイラブユー」



小さなエピソードの積み重ねで描くNY物語。 オムニバスの各エピソードごとに監督が替わるが、 日本からは岩井俊二が参加。 部屋に 「デスノート」 のポスターが貼ってある以外、 いつもと少し違う作風である気がして岩井と気づかないかもしれない。

中盤で、 あれ・・ リュック・ベッソンが出てる?と思っていたら全く別人^ ^ 画家役のウグル・ユーセルだった。 "NYは可能性に満ちた街、 どんな願いもかなう" と言うタクシーの運ちゃんに画家は "しばらくの間だけはね" と答える。 NYが好きな人も嫌いな人も概ね楽しめるが、 製作のエマニュエル・ベンビイなどフランスの血が入るので、 どこかパリ的なアンニュイさが漂うNYという感じもした。

以下、 各エピソードの触りを。 個人的には二つの 「セントラルパーク」 が印象に残った。 「アッパー・イーストサイド」 は亡くなったアンソニー・ミンゲラの脚本を引き継いだそうだが、 完成度が高い。 

「チャイナタウン」
監督 チアン・ウェン
ヘイデン・クリステンセン レイチェル・ビルソン アンディ・ガルシア

街ですれ違った男の財布をまんまとせしめるスリ。 だがバーで声をかけた女が待っていたのは、 先ほど財布をいただいた男だった・・ 

「ダイヤモンド街」
監督 ミーラー・ナーイル
イルファン・カーン ナタリー・ポートマン 

インド人の宝石商、 なじみの女性客が今度 結婚することになった。 ジャイナ教とユダヤ教の二人は "何でも食べるキリスト教徒は信用できない" などと冗談を言い合いながら、 ふと出家した妻を思い出す宝石商・・ 

「アッパー・ウェストサイド」
監督 岩井俊二
オーランド・ブルーム クリスティーナ・リッチ 

ある映画のサウンドトラックを任されたミュージシャン、 だが監督からダメ出しを食らう。 "ドストエフスキーを読め" との監督からのメッセージを伝えるエージェントの女性。 電話で会話するだけだった彼女に、 しだいに興味を持つように・・ 

「ソーホー」
監督 イヴァン・アタル
マギー・Q イーサン・ホーク ロビン・ライト・ペン クリス・クーパー 

街角でタバコの火を貸した女に惹かれる男。 "オレはテクニシャンだぜ" と大っぴらに誘うが・・ 




「セントラルパーク」
監督 ブレット・ラトナー
アントン・イェルチン オリヴィア・サールビー ジェームズ・カーン 

プロムの前日に彼女にフラれる高校生。 馴染みの店のオヤジに娘を連れてってくれと言われるが、 その娘は車椅子だった・・ 

「グリニッチヴィレッジ」
監督 アレン・ヒューズ
ドレア・ド・マッテオ ブラッドリー・クーパー 

タイプではないと思いつつ寝てしまった女が忘れられない男、 あてもなくNYの街を彷徨う・・ 

「アッパー・イーストサイド」
脚本 アンソニー・ミンゲラ(遺作) 監督 シェカール・カプール
シャイア・ラブーフ ジュリー・クリスティ ジョン・ハート 

年老いた歌手は一人、 ホテルにやってくる。 ボーイは足を引きずり、 若いが寂しそうな男。 歌手には計画があり、 心を決めた そのとき、 ドアをノックする音が・・ 




(もうひとつの) 「セントラルパーク」 (エントリートップphoto)
監督 ナタリー・ポートマン
カルロス・アコスタ テイラー・ギア 

"子供の扱いが上手ね" と周りのママから言われる男。 だがマニー(子守りをする男)のバイトは仮の姿だった・・ 

(もうひとつの) 「チャイナタウン」
監督 ファティ・アキン
スー・チー ウグル・ユーセル 

平凡な日常を生きる中国系の女は、 ある日 画家から "君を描きたい" と言われる。 だがアトリエに行ってみると・・ 

「ブライトンビーチ」
監督 ジョシュア・マーストン
イーライ・ウォラック クロリス・リーチマン エヴァ・アムリ ジャスティン・バーサ 

長年連れ添った老夫婦は、 いつものようにブライトンビーチまで散歩する・・ 

エピソード+1
監督 ランディ・バルスマイヤー/エミリー・オハナ 
NYの街をカメラで追うビデオアーティスト、 その作品がエンディングを飾る。


ニューヨーク, アイラブユー (2008アメリカ・フランス) 日本公開2010 公式サイト 
NEW YORK, I LOVE YOU  象のロケット 
製作 エマニュエル・ベンビイ 
ニューヨーク, アイラブユー [DVD][DVD]

マイレージ、マイライフ [DVD] 50歳の恋愛白書 [DVD] バレンタインデー Blu-ray&DVDセット(初回限定生産) 恋する履歴書 [DVD] 新しい人生のはじめかた [DVD]

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8.24.2010

加速せよ、私。 「ローラーガールズ・ダイアリー」



かなり見たかったのに見逃した作品、 いち早くDVDでフォロー! なかなか青春してた! しかし若さだけで突っ走るタイプの青春ではなく、 社会との関わりを疎かにせず、 いろんなことに悩みながらも暴走するというのか、 地に足は着いているが その靴にはローラーが付いている、 みたいな・・ いずれにせよ、 このジャンルのものとしては良く出来ていたのではないだろうか。

17才のブリスは、 母の意向もあってミスコンなんかに参加する女の子だったが、 あるとき熱いものをみつけてしまう。 それがローラーダービー。 テキサスではこれが復活していたのだった。 試合を見に行くだけでなく、 メンバー募集のオーディションまで受けてしまう。 もちろん母には嘘をついて。

部屋の隅から小さい頃に遊んだスケート靴を引っ張り出して練習。 そのときの嬉しそうな顔。 リーグの規定では未成年は不可だったが、 これまた22歳と嘘をつく。 一見、 ひ弱な彼女だがスピードはピカイチで、 合格してしまう。 そして最下位だったチームは徐々に上位進出。

出会ったローラーガールたちは、 17才のブリスより はるかに年上で子持ちだったりするが、 不思議と刺激しあえる関係となる。 彼氏もできたり、 彼女の人生は回り始めたかに見えたが・・

ローラーゲームというのは新奇性があっていいし、 登場人物は多めなのに、 一人一人きちっと描けている。 それでいてブリスの成長物語にはしっかりフォーカスされている。 肝心のゲームシーンは多少 平板な気がしなくもないが、 ドリュー・バリモアは初監督ながら上出来。

17才の心もとなさと一途さを映すエレン・ペイジの表情も、 もてはやされているだけのことはあるなと。 彼氏とボンネットに寝転がって歌うシーンなどもいい。

ただ、 ミスコン・ママのような存在やリングネームじゃなかった、 チームでのニックネーム (ベイブ・ルースレス、 マギー・メイヘムなど) のセンスは訳し切れずに英語圏以外へは伝わりにくい部分ではないかと思う。

日本ではお決まりの "ダイアリー式" の邦題となっているが、 原題の Whip It はゲーム中、 手をつないで後ろの選手を前へ送る加速的な手法のことだが、 本来の意味は馬にムチ打つということ。 そんなニュアンスは邦題では完全に抜け落ちてしまう。 安易に "ダイアリー式" にしてしまわずに、 意味を汲みながらもピタッとハマる いい訳を探す努力を放棄しないでほしいものだ。



ローラーガールズ・ダイアリー Whip It (2009) 日本公開2010 公式サイト 
監督 ドリュー・バリモア 原作・脚本 ショーナ・クロス  象のロケット 
エレン・ペイジ マーシャ・ゲイ・ハーデン クリステン・ウィグ 
ジュリエット・ルイス イヴ ゾーイ・ベル アリア・ショウカット 
ダニエル・スターン アンドリュー・ウィルソン 
ランドン・ピッグ ユーレイラ・シール カルロ・アルバン 
ローラーガールズ・ダイアリー [DVD][DVD]

フローズン・リバー [DVD] ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD] クレイジー・ハート [DVD] 息もできない [DVD] トラブル・イン・ハリウッド スペシャル・エディション [DVD]

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8.22.2010

ハンサムからイケメンへ 「特攻野郎Aチーム」



概ね快作とされているようだが、 まあ可もなし不可もなし。 。 80年代の人気テレビシリーズ (写真・右下) のリメイク映画化ということで、 オリジナルも聞いたことはある程度だが、 リーアム・ニーソンが元キャラの風貌どおり銀髪の横分けにしているのに何となく違和感を覚えた。

反対に "フェイス" と呼ばれるイケメン・キャラは時代を反映して随分変わった気がする。 当然ながら、 昔のハンサムでは通用しないのだ^ ^逆に今のイケメンをタイムスリップさせて昔に連れて行けば、 ぜんぜんモテずに、 むしろ気味悪がられるのではないかとも思う。 こんな考察ができただけでも良しとしようか。

原題はただの Aチーム、 それに "特攻野郎" なんて '零戦' な肩書きが付いているのも よく考えれば妙だが、 絶妙に言い得て妙なニクめない奴らではある。 しかしやはりCIAだの国防総省がどうのというストーリーが古いままな気がした。 中途半端に '温故知新' されているところが もったいないとも言える。

あいかわらずリメイクは後を絶たないが、 過去にはそれだけ知恵の絞られた、 オリジナリティの高いコンテンツが生み出されてきたということだろう。 イージーにピックアップしてゾンビを甦らせるだけでなく、 もうひと工夫、 ふた工夫して鮮やかに甦らせてほしいものだ。


特攻野郎Aチーム THE MOVIE The A-Team (2010) 8/20~ 公式サイト・予告 
監督 ジョー・カーナハン  象のロケット 
リーアム・ニーソン ブラッドリー・クーパー クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン
シャールト・コプリー ジェシカ・ビール パトリック・ウィルソン 

8.19.2010

プラズマかめはめ波! 「魔法使いの弟子」



ダークな感じかなと勝手に思っていたが、 始まったらすぐディズニーのロゴ。 ああ、 ディズニー映画なんだと。 「ファンタジア」 (1940) の一編をモチーフにしたとのこと。 そうなると予定調和的ハッピーエンディングは予想できたが、 まあ楽しい作品だった。

マトリョーシカのような人形に封印された悪い魔女。 これを甦らせようとする者と阻止しようとする者。 いい魔法使いバルサザールがニコラス・ケイジ。 何にでも出る人だなと思うが、 やっぱりニコラスが出てくるあたりからグッと画面に引きつけられるようになる。 バルサザールに見出された少年は、 彼が何千年も待っていた凄い才能の持ち主なのだが、 好きな女の子ことばかり気になって、 魔法の訓練に身が入らない。 それでも優しく見守るバルサザール。 教え、 育てることは忍耐のいる仕事なのだ^ ^

魔法は火炎系などクラシックなものだけでなく、 電撃系、 あるいはポンコツ車をスポーツカーに変える術などモダナイズされている。 そして衝撃波を飛ばすときのポーズはなぜか、 かめはめ波^ ^ 苦難はあるが、 何とか乗り切ってハッピーエンド。 子供にも安心して見せられる作品と言える。 だが最近の子供は、 この手の雰囲気にはあまり関心を示さないように思う。 そのあたりディズニーのマーケティングはどう考えているのだろう^ ^ いつまでも子供でありたい大人向けなのかもしれない。 。


魔法使いの弟子 The Sorcerer's Apprentice (2010) 8/13~ 公式サイト・予告 
監督 ジョン・タートルトーブ  象のロケット 
ニコラス・ケイジ ジェイ・バルシェル テリーサ・パーマー 
アルフレッド・モリナ トビー・ケベル モニカ・ベルッチ 
魔法使いの弟子 [DVD][DVD]

アデル/ファラオと復活の秘薬 [DVD] ベスト・キッド [DVD] 特攻野郎Aチーム THE MOVIE(初回生産限定) [DVD] エアベンダー スペシャル・エディション [DVD] バイオハザードIV アフターライフ [DVD]

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8.18.2010

マシンガンは削岩機? 「ソルト」



遅ればせながらメジャー作品2本目、 概ね可もなく不可もなく。 またアンジェリーナ・ジョリーかとは思ったものの、 実際に画面に登場する彼女の立ち姿は、 やはりクールでカッコいい。 しかしロシアのスパイがどうのこうのという話が、 いまどき面白い? プロットは何となく 「ダークエンジェル」 を思い出したが、 あの頃のジェシカ・アルバは良かったなあ。 あ、 アンジーの話でしたね^ ^

いやあ見たものの、 何も書くことがないな。 。 アンジェリーナ演じるのはロシアのスーパースパイで、 悲しい生い立ちを背負っている。 最愛の人も奪われて、 その能力は行き場を失う。 全編を通してスーパーぶりを満喫できるが、 極めつけはマシンガンを削岩機として使うところだろう^ ^ 分厚い壁を掘削して配線を取り出すのだ。 弾丸の跳ね返りは、 別に気にしなくていいのかな。 。

製作費の大半をアンジーのギャラが持って行くので、 その他の部分にしわ寄せが来てるのを感じなくもない。 こういうあり方も、 もうそろそろ限界かもしれない。 ソルト=塩、 しおどきってね。 。 いつの間にかこのブログ、 オヤジギャグのオンパレードになってる?

ソルト Salt (2010) 7/31~ 公式サイト 
監督 フィリップ・ノイス  象のロケット 
アンジェリーナ・ジョリー リーヴ・シュレイバー キウェテル・イジョフォー 
ダニエル・オルブリフスキー アウグスト・ディール