2.28.2010

本! 「ザ・ウォーカー」



これは楽しみにしている人も多い作品だろう。 先に見てすまないが、 ネタバレを避けつつ、 ざっくり話すとこんな感じ。

原因はハッキリとは説明されないが、 文明は滅び、 世界は一度終わった。 いまも太陽が強く降り注ぐなかを、 サングラスなしで出歩くと危険。 一人 西に向かって旅する男がいる。 男は物静かな佇まいに似合わず強く、 大きなナイフ、 銃、 ボウガンを使いこなす。 その上 何かに守られているようす。 救世主伝説が生まれそうな気配は、 多々ある類似の作品と同様とくに新鮮味を感じないが、 ヒューズ兄弟がめざす世界観は少し違っている。 男の名はイーライ、 声に導かれて男が果たそうとする使命こそが、 その差違を作り出している。 それは一冊の本。 これを届けることが使命なのだ。

もうお気づきの方もいることだろう。 またまた苦言を呈さねばならない^ ^ ウォーカー? どこから出てきたのよ、 その邦題は? 確かに徒歩で旅する男の話だが、 車にもボートにも乗るんだ実際は。 。 原題は "イーライの本"。 この本がいったい何であるかがポイントなのに、 ウォーカー? しかもザ? 雰囲気だけでテキトーなタイトル付けてんじゃねえよ。 恥ずかしくて、 そのタイトルでは話題にしたくないよ。 ねえ、 あれ見た? ザ・ウォーカー・・ 恥ずかしいなあ、 もう。 "イーライの本" で いーらい! あるいはブック・オブ・イーライくらいにしといてよ、 ったく。 下のポスター3種も ELI の文字がないと成立しないでしょうが。

さあ、 気を取り直して続けよう。 ある町にたどり着くと、 もうすでに権力者が生まれている。 貴重な水を牛耳って人々を支配しているが、 イーライは この支配者カーネギーに気に入られる。 なぜならカーネギーもその本を探し求めていたから。 その本は人の弱さを支配する力に満ちているという。 本を武器に権力を拡大しようと考えていた。

カーネギーの妻のようにして暮らす盲目の女クローディアに、 懐かしのフラッシュダンス娘ジェニファー・ビールス。 かつての世界を知らない若い娘ソララに、 ロシア娘ミラ・クニス。 娘ばかりを連発してしまったが、 イーライは女にもモテる。 しかし使命を抱える男は、 権力者の膝元で留まっているわけにはいかない。 宿を後にしようとしたとき、 カーネギーの部下に取り囲まれる・・ 果たして使命は全うされるか、 権力者は何を奪おうというのか。

その本はキング・ジェームズ版の・・ とまで言うと勘のいい人は気づくかもしれない。 そう、 それなのだ^ ^ デンゼル・ワシントンはやや意外なキャスティングではあるが、 かっこいい。 私め似ということになっているゲイリーさんは相変わらずの悪役ぶりで、 若いときにオールドマンという姓は渋いだろうけど、 本当にオールドマンになってしまったら ちょいストレートすぎるかもね。 大きなお世話か。 とにかく持ち上げすぎなければ なかなか面白い一作ではあるが、 この邦題だけは取り返しがつかないな。


ザ・ウォーカー THE BOOK OF ELI (2010) 日本公開6/19予定 公式サイト&予告 
監督 ヒューズ bros 製作 ジョエル・シルヴァー  象のロケット 
デンゼル・ワシントン ゲイリー・オールドマン ミラ・クニス 
ジェニファー・ビールス トム・ウェイツ マルコム・マクダウェル 
ザ・ウォーカー [DVD][DVD]

アイアンマン2 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD] 運命のボタン [DVD] ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~ [DVD] ソルト デラックス・ディレクターズ・コレクション [DVD] グリーン・ゾーン 【ブルーレイ&DVDセット・2枚組】 [Blu-ray]

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カミさんがコレで・・ 「SIDE EFFX」



新作メジャー作品の谷間に、 これまた ど・マイナーな作品で恐縮^ ^ イギリス・イタリア合作のホラーあるいはサイファイ (Sci-Fi) 作品で、 世界のAmazonにもなく日本でレンタルされているだけ。 当然ながら低予算^ ^ サイド・エフェクトというのは薬の副作用のことで、 それをカッコよく?言い回したのがタイトル。 邦題もなし^ ^

これだけ黙殺されているのには何かワケがあるのだろうか。 しかし内容はそれほど見下したものではなく、 再生すると中盤までは一気に見てしまった。

SCENE 1
手持ちカメラ、 バースデーケーキを片手に父さんが自分で撮影しているようす。 子供たちを探すが見当たらず。 バスルームに血まみれの三体・・ だが一番大きな生き物は死んではいなかった。

なぜかニューメキシコという設定で、 わざとらしいまでの父さんの南部なまりだが、 割り切った演出は悪くない。



SCENE 2
軍の施設、 夜、 ポルノを見ている警備員。 防犯カメラに何かが写るが気づかない。 警戒態勢の連絡。 派遣されてくるネズミ駆除部隊。 だがこれは軍が送り込んだ特殊傭兵チームで、 スナイパー、 爆発物専門家、 格闘家とスペシャリティも国籍もさまざま。 刺青、 傷痕、 カールした長いヒゲとルックスもただのネズミ駆除員ではなかった。

SCENE 3
センサーや暗視カメラでターゲットを追うが、 新薬の副作用でモンスター化した女は一筋縄ではいかず、 部隊は次々に沈んでゆく。

類似の作品は多いかもしれないが、 このへんまではけっこう引き込む。 だが肝心のモンスターはイタリアン・ホラーっぽい不気味さはあるものの、 映画全体のテイストからは浮いていて、 戦闘シーンも低予算らしく迫力に欠ける。 少し退屈してくる。

SCENE 4
何とか片が付くが、 警備員の奥さんは出産を控えていて、 病院に行くと新薬を試してみないかと言われる。 副作用はないし報酬もいいよ、 と・・

トレイラー発見!
SIDE EFFXSIDE EFFX サイド・エフェックス (2009イギリス・イタリア) 日本未公開 
監督 アンドリュー・ダイモンド+ヤーセン・ナンニーニ 
エロイーズ・ジョゼフ デイヴ・ジャッジ エヴァンジェロス・グレコ 
[DVDはレンタルのみ]

2.27.2010

箱! 「運命のボタン」



早朝、 呼び鈴に起こされて玄関に出てみると不思議な届け物が置かれている。 それは箱、 開けると中には核ボタンのようなものが・・ 追って不気味な顔の紳士が訪ねて来て、 贈り物について説明する。 "ボタンを押すと、 あなたの知らない誰かが死ぬ。 そしてあなたは100万ドルを受け取ることができる。 押さなければボタンは回収され、 プログラムを書き直して別の誰かに届けられる。 期限は24時間。"

あなたらなら どうする? その前に不審な郵便物は開けない? 現代だとそうなるかもしれない。 しかし舞台は1970年代、 人類は宇宙へのロマンに燃え、 興味の対象はすでに月から火星に移っていた。 地球外生命に出会えるのではないかという密かな期待がこの星を覆っていた。 だが探査衛星を飛ばしたりする程度の科学より、 はるかに進んだ科学を持つ者がそこにいたとしたら。

SFなのだろうか、 サスペンスなのだろうか。 しいて言うならレトロSFか、 クラシカルな雰囲気のなか、 塗り替えられるはずのない過去に別の分岐点があったかのような残酷な二者択一が仕掛けられる。 それは人類へのテストだったのだ。 監督は 「ドニー・ダーコ」 のリチャード・ケリー。 今回のは面白い^ ^ キャメロン・ディアスは小学生の息子を持つ母役で落ち着いた演技を見せる。

ディアス演じる母は小学校の教師、 幼い頃の事故で少し足を引きずる歩き方になる。 そのことで息子もからかわれるが、 そんなことよりも授業料の免除制度が打ち切られることの方が深刻だった。 夫は宇宙飛行士を夢見て、 薄給のNASA勤め。 傍らで新素材による義足の研究もしている。

貧しいながらも幸せな家族、 だがこんな誘惑が舞い込んだら、 清く正しくいられるはずがない。 時期を同じくして、 不思議な殺人事件が起きる。 女が至近距離から心臓を撃ち抜かれて死ぬ。 小さな娘は無事に発見され、 女は全くの無抵抗で死んでいるため強盗にしてはおかしい。 だが事件の解決を待たず同じ運命がこちらの家族にも迫っていた。 NSA(国家安全保障局) までが絡んできたら、 これはもうただ事じゃない。

こういう不思議な世界観の話に触れると 「ファンタズム」 を思い出すのだが、 いまどき知っている人も少ないに違いない。 この物語も、 いまどき火星人なんて持ち出す人はいないのだから、 一歩間違うと独りよがりのズレた絵空事で終わってしまう。 設定を現代に変えろとの指摘が、 製作過程で一度はあったのではないかとも想像する。 にもかかわらず70年代という設定を優先したのだとしたら、 それこそがまさに二者択一、 たとえ間違っていたにせよ逆もまた真なり。 それによって監督の映画になったと言えるのだ。

だが例によって邦題には苦言を呈さないわけにはいかない。 原作はショートストーリーとのことで、 タイトルは "Button, Button"。 だが映画は "The Box"。 これをどっちでもいいやと捉えることは、 誰が脚本を書き監督をしても、 原作から抜け出ることはないでしょと言ってるのと同じ。 配給元が映画を否定してどうするのだ。 '運命の' というベタな形容詞が不要なのはもちろん、 勝手に箱をボタンに戻してはいけない。 確かに箱の中にはボタンが入っているのだが、 劇中の次のセリフを聞いたなら勝手な変更はできないはずなのだ。

君たちは箱だ 
箱に乗って (車) 箱に住み (家) 箱を眺める (TV)
死んだら箱を抜けだして (肉体) 空箱は箱に収められる (棺桶)

客の入る邦題を考えてもらうのはけっこうだが、 せめて本編を見てからにしてほしいものだ。 とりあえず5月頃、 公開予定だそうだ。




運命のボタン The Box (2009) 日本公開2010.5/8 公式サイト・予告 象のロケット 
監督 リチャード・ケリー 原作 リチャード・マシスン 
キャメロン・ディアス ジェームズ・マースデン フランク・ランジェラ 
運命のボタン [DVD][DVD]

ザ・ウォーカー [DVD] ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~ [DVD] 30デイズ・ナイト プレミアム・エディション [DVD] レポゼッション・メン ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray] ジェニファーズ・ボディ (完全版) [DVD]

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2.26.2010

失ったしっぽ 「ファンタスティック Mr. FOX」



ウェス・アンダーソン監督の新作は人形アニメ。 これを面白いと思うか、 アンダーソンよ お前もかと感じるかは見る人しだいだろう。 奇想天外な何かがあるのではという予想に反して普通のアニメだったが、 普通のアニメと思ってみれば一味もふた味も変わっているのかもしれない。

かいじゅうたちのいるところ」 のように、 キツネやその他の動物の毛並みが印象的で、 ブルブルっと震える感じが右脳の片隅に残る。 '野生' 'ワイルド' というキーワードが意味深に隠されている気もする。

だが物語的には ごく普通で、 結婚して一児を持ったキツネ・パパはある日、 野心を再燃させる。 穴ぐらを出て高台に家を買い、 お金に困る生活はイヤだと、 このあたりを牛耳る農夫たちの家畜やリンゴ酒強奪作戦を決行。 その結果、 農夫たちと対立することになるが、 さまざまな動物たちの個性あるいは特性を生かした '野生' の爆発によって、 したたかにサバイバルを果たすというもの。

農夫から見ればただの泥棒キツネ狩り、 動物たちから見れば、 虐げられた者による世界の奪還。 それを擬人法によって展開するのだから、 たいていの動物アニメと同様に最初から自己矛盾をはらんでいる。 あるいは人間対野生というより、持てる者対持たざる者なのかもしれない。 パパは戦闘の途中でしっぽを失い、 農夫がそれをネクタイにしてテレビに出るという一幕がある。

動物たちの間にもさまざまな嫉妬や懐疑があり、 事なかれ主義の多くの者は最初はキツネ・パパを責める。 だがキツネ・パパは独特のテンションでリーダーシップを発揮、 みんなを闘争に導いてゆくが完全なビジョンがあるわけでもなかった。 破れかぶれの結果オーライ。 危うい この世界を写し取っただけということかもしれない。

ディテールや各論のアイディアはそれなりに冴えていると言える。 勢いのある進行に圧倒されて一気に見れる。 初期のアンダーソン作品のように。 だがなぜか野生を解放しても閉塞感を取り払うことはできず、 こんなことを繰り返して世界は終わっていく、 やっと逃げ延びた場所にも希望はなかった・・ 昔の悲観的なSFを見た後のような、 そんな気分にさせられるのはなぜだろう。 失ったしっぽが再び生えてくることはないのだと再確認させられただけ。 そんなふうにも思える。



ファンタスティック Mr. FOX Fantastic Mr. Fox
(2009アメリカ・イギリス) 日本公開2011.3/19 公式サイト 象のロケット 
監督 ウェス・アンダーソン 原作 ロアルド・ダール 
ジョージ・クルーニー メリル・ストリープ ビル・マーレイ ウィレム・デフォー 
ファンタスティックMr.FOX [Blu-ray][Blu-ray]

メアリー&マックス [Blu-ray] イリュージョニスト [Blu-ray] スーパー! スペシャル・エディション [Blu-ray] モンスターズ / 地球外生命体 [Blu-ray]

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春よ来い! 「ニンジャ・アサシン」



マトリックス」 シリーズのウォシャウスキー兄弟&ジョエル・シルヴァーが放つ忍者アクション! とういうことで、 だいたい想像はつくが放っておけないのが人情というものだ^ ^ もうすぐ公開だが一足先に見させてもらったので、 嬉しがって ちょっとだけ見どころを。 。

忍者が現代においても、 ハイレベルな暗殺者集団として存在しているという設定のもと、 身寄りのない子供たちを忍者に育てる組織の長は "小角" と書いて Ozunu と発音するらしいが、 これをショー・コスギ。 冷徹な男という役柄だが、 優しくも見えるところがタマに傷か。

そして小角に暗殺者としての高い才能を見出される雷蔵。 これを演じるのが、 韓国のRain。 以前は Rain(ピ) とか表記していた歌手だと記憶しているが、 アクション俳優に転身したのか、 ミステリアスな表情と綺麗な腹筋を披露してくれる。 忍者って日本のものなのに・・と、 浅田真央 vs キム・ヨナみたいに言われそうだが、 口出し無用のハリウッド・キャスティングなのでね^ ^ でも、 はまり役じゃないかな。

のっけから顔面がちぎれ、 手足がスパッと切れる忍者の高度な殺しの腕前が披露され、 影とともに現れるという色づけで忍びらしさが表現される。 厳しい修行を生き抜いた雷蔵だが、 女に弱いという一面が彼を '抜け忍' へと運命づける。 ドイツの諜報機関と小角の組織の双方から追われながら、 生きる意味を見出そうと戦いつづける。

ヴァンパイア・ブームにつづいてニンジャ・ブームが来るのだろうか。 それを担う日本人俳優あるいは女優はいるだろうか。 雷蔵が幼い頃の修行シーンはどこか "巨人の星" のようだが、 ツッコミどころは意外に少なく、 ざっくり切れた傷を忍法で治してしまうところくらいか。 ニンジャのかっこよさ+マトリックス・アクションを楽しみながら春を待とうではないか^ ^


ニンジャ・アサシン Ninja Assassin (2009アメリカ・ドイツ) 日本公開3/6 
監督 ジェームズ・マクティーグ  公式サイト&予告 象のロケット 
Rain ナオミ・ハリス リック・ユーン ショー・コスギ