4.25.2009

他人事では・・ 「ホームレス中学生」



中学生になったばかりの息子と見たが、 他人事と笑えないご時世でもあり。 。 それでもやはり笑える、 バランスのいい映画化となっているようだ。 子供は原作も読んでいたようで、 ダンボールを食べるシーン あるかな、 などとそれなりに楽しんでいる様子だったが、 その横顔を盗み見ながら、 こんな状況になればコイツはどうするのだろうかなどと時折、 神妙な気分が混じる。 久しぶりの家庭料理、 お風呂のシーン・・ ありがたみが伝わってくるし、 父の "解散" や後半の牛丼屋のシーンなど、 笑える演出も合格点。

しかし22才で中学生を演じる小池徹平には無理があった。 いくら童顔とは言え、 高校生には見えるが中学生にはさすがに・・ 痛々しさはかなり軽くなってる気がする。 夜も眠れない姉の池脇千鶴がぜんぜん健康そうなのも・・ 病床の母、 古手川祐子も同じく。 役柄によって体重を何キロも増減する海外の役者とは入れ込み方が違うようだが、 いしだ、 宇崎、 田中が挽回してくれる。

テレビ化もされていて、 すでに消費しつくされた物語かもしれないが、 こんな話がますます身に染みるご時世になりつつある今日この頃、 見てない方はとりあえずレンタルでもしてみれば感慨深い時間が過ごせるのではないだろうか。 。 「ホームレスが中学生」 と間違えないように^ ^


ホームレス中学生 (2008) 公式サイト&予告編 
監督 古厩智之 原作 田村裕 
小池徹平 西野亮廣 池脇千鶴 イッセー尾形 古手川祐子 
黒谷友香 いしだあゆみ 宇崎竜童 田中裕子 

4.24.2009

靴音 「トウキョウソナタ」



ドレミファ娘の血は騒ぐ」 (1985) 以降、 世間の評価が上がるにつれて、 自分的にはスルーだった黒沢清。 ホラーの人というようなカラーもついているようだが、 そんな印象すらない。 自分にとってはあくまで、 ドレミファ娘の監督なのだ。 それだけ強烈な作品だったわけだが、 今回のソナタは奇しくも同じ音楽のファクターをタイトルにしているからということもないだろうが、 異質な感触とともに、 近年の同監督作品のなかではひときわ印象深いものだった。

脚本のマックス・マーラ・・ じゃなかったマックス・マニックスというのは何者なんだろう。 明日公開の 「レイン・フォール」 ではメガホンを取っているらしいが、 とりあえず日本人ではないのだろう^ ^ しかし日本の状況にも詳しいように見受けられるし、 かといって日本人が書かない雰囲気の突っ走り方もする。

リストラされた父、 運転免許を取って悦に入る母。 そして米軍に志願する兄・・ このへん走ってるな^ ^ ピアノの先生に憧れて始めたレッスンなのに、 才能を見出されてしまう弟。 家族の崩壊、 あるいは個人の社会からの疎外感を描くというより、 演じようとしていた役割が筋書きの変更によって再考を余儀なくされた状況を描いていると言えるかもしれない。

"目が覚めて別人だったら どんなにいいいだろう" "救命ボートは行ってしまったんだよ" ・・ こんなセリフに現れるストレートさは、 やはり邦画のセンスとは違う。 人生 何度でもやり直しできる、 などと簡単に励ます物語でもなく、 父と母は息子のピアノに静かに涙して終わる。 そしてクレジットロールの後ろで鳴る靴音は何を意味するのだろうか。 新鮮な味わいの映画だ。 弟役の少年も印象的。

トウキョウソナタ (2008日本・オランダ・香港) 公式サイト&トレーラー 
監督 黒沢清 脚本 マックス・マニックス 他 
香川照之 小泉今日子 小柳友 井之脇海 井川遥 役所広司 
トウキョウソナタ [DVD][DVD]

 勝手にしやがれ!! DVD-BOX 接吻 デラックス版 [DVD] ぐるりのこと。 [DVD] TOKYO! [DVD] その日のまえに 【初回限定生産2枚組】 [DVD]

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4.22.2009

すでに伝説か・・ 「DRAGONBALL EVOLUTION」



けっきょく見てしまった。 。 ドラゴンボールも初期のアニメしか知らないので何とも言えないが、 みなさんがおっしゃる通りだろうなと思う。 海外での評価も見てみたが、 意外にあちらでも最低のようだ。 でも微妙に驚いたのは鳥山明が自ら製作総指揮をつとめている? とりあえず資料ではそうなっている。 これはどう考えればいいんだ?

例によって子供と見たので吹替版だが、 原作もよく知らないくせに、 なぜ高校生かと言ってた。 確かに。 素朴な疑問だよな。 。 ハリウッド版というより香港カラーが強かったようにも思う。 それ以上は何も感想がない^ ^ ここのところ少し時間がなかったので、 思いあまってのエントリー、 失礼しました。

DRAGONBALL EVOLUTION (2009アメリカ・香港) 3/13〜 オフィシャルサイト 
監督 ジェームズ・ウォン 原作・製作総指揮 鳥山明 
ジャスティン・チャットウィン エミー・ロッサム ジェイミー・チャン 
田村英里子 パク・ジュンヒョン チョウ・ユンファ 
ドラゴンボール EVOLUTION (特別編) [DVD]特別編 [DVD]

 ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー [DVD] ワルキューレ プレミアム・エディション [DVD] アンダーワールド ビギンズ コレクターズ・エディション [DVD] オーストラリア [DVD] バビロンA.D. (特別編)  [DVD]

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4.21.2009

あの時代・・ 「アメリカン・ニューシネマ」



60年代後半、 大金をつぎ込んだ映画が当たらず、 ハリウッドシステムは崩れていった。 スタジオは企業に買収され、 その結果として監督の権限が拡大した。 ロック、 ヒッピー、 ベトナム戦争、 ウーマンリヴ、 黒人運動・・ 同時代を生きる監督は観客が求めるものを知っており、 映画会社は監督の好きにさせることで観客を取り戻せるという手応えを持った。 余った予算とスケジュールでもう1本撮ってよ的な低予算作品は、 学生街で外国映画を観ていた若い監督志望に門戸を開き、 じゃあゴダールみたいな映画を撮ってやる、 と。 そうしてアメリカの新しい映画は始まった。 銀幕のスターよりも等身大の俳優が数多く誕生、 娯楽作品に飽きた観客は、 やがて映画に意味を求めるようになった。 どこかで見たような物語や語り口は喜ばれず、 斬新な試みとリアルな表現が受けた。

自分などにとっては、 幼い頃の映画体験も含めまさにこれが映画なのだが、 蒼々たる顔ぶれが自らの体験を振り返って綴られる1時間50分は、 当時の熱気を伝えてくれると同時に、 あらたな発見をもくれる。 70年代のアカデミー候補リストは他に例を見ない異色作のオンパレードとなっているそうだが、 そんな時代が再来してくれることを望みながら、 それはありえないと冷めている自分もいる。

70年代の終わり、しだいに観客はリアルな現実を描く映画に疲れ、 ここに食い込んだのが 「ジョーズ」 そして 「スター・ウォーズ」 だったわけだが、 それらの大ヒットは奇しくもハリウッドをよりビジネス志向に変えてゆく。 この方向はいまなお顕著であり、 海外から注目の監督を引っぱってくるというクセも、 この70年代の特異な成功体験に基づいているのかもしれない。 低予算で作家性の高い映画はインディペントに受け継がれたというようなまとめ方になっている。 70年代の映画に思い入れのある人はもちろん、 これから映画製作に関わりたい人にもぜひ見てもらいたいドキュメンタリーだ。 上の画像は大好きな作品 「アリスの恋」 (1974) で、 他にも 「真夜中のカーボーイ」 をはじめ名作、 衝撃作が何本も登場する。


アメリカン・ニューシネマ 反逆と再生のハリウッド史 (2003) 日本未公開 
A DECADE UNDER THE INFLUENCE *ドキュメンタリー 
監督 テッド・デミ+リチャード・ラグラヴェネーズ 
ロバート・アルトマン ジョン・G・アヴィルドセン ウォーレン・ベイティ 
リンダ・ブレア ピーター・ボグダノヴィッチ ピーター・ボイル 
マーシャル・ブリックマン エレン・バースティン ジョン・キャリー 
ジョン・カサヴェテス ジュリー・クリスティ フランシス・フォード・コッポラ 
ロジャー・コーマン ブルース・ダーン クリント・イーストウッド 
ルイーズ・フレッチャー ジェーン・フォンダ ピーター・フォンダ 
ミロス・フォアマン ウィリアム・フリードキン パム・グリア 
ゴールディ・ホーン モンテ・ヘルマン ジミ・ヘンドリックス 
デニス・ホッパー ミック・ジャガー マーティン・ルーサー・キング 
パイパー・ローリー シドニー・ルメット ポール・マザースキー 
マイク・メダヴォイ ポリー・プラット シドニー・ポラック 
ロナルド・レーガン ロバート・レッドフォード ジェリー・シャッツバーグ 
ロイ・シャイダー ポール・シュレイダー マーティン・スコセッシ 
シシー・スペイセク ロバート・タウン ジョン・ヴォイト 

4.20.2009

デビッド・ボウイのパンティ 「ライラにお手あげ」



この邦題は困ったものだ。 センスが悪いというのではなく、 明らかに間違い。 このタイトルでは、 おてんばとか、 問題があっても結局はライラがヒロインなのだと思わせるが、 ライラはキャストの一人に過ぎない。 ライラとのラブストーリーではないのだ。 邦題つけた人、 ちゃんと観たのか?

したまちコメディ映画祭 in 台東 で公開されたが、 一般には未公開で終わっている。 その理由は つまらないからではなく、 キツすぎるのだ^ ^ このポスターのキャッチ "愛が吹く" "愛は痛い" が物語るように、 徹底的に恋愛や結婚を皮肉ったブラックなラブコメと言える。

ベン・スティラーが演じるのは、 いい年になっても独身で、 まわりからゲイだの早く結婚しろだのヤイヤイ言われる男。 元婚約者の結婚式に出席して感慨に沈んでいる矢先にライラと出会う。 こういう男に限って理想が高いので、 こんな美人でもクールに対応するだけ。 しかしタイミングがタイミングなのでようやく結婚に踏み切るが、 これが間違いの元だった。 ハネムーン・スイートで、 いかに彼女のことを知らなかったかが露呈し、 さらにはその旅行先で もっと惹かれる女性に出会ってしまう。 妻が日焼けによる炎症で外出を控えたのをいいことに、 男はシングルのふりをして・・

さすがに日本では受けないだろうなというギャグばかりだが、 冷ややかに観ていると ときどき(爆)。 。 なぜか音楽は微妙によくて、 男が好きだというデビッド・ボウイが要所でかかり、 ライラが ボウイのTシャツならぬパンティを持っていたため、 運命の人ということになる。 そんなものあるのか? スティラーの父親役で、 本当のお父さんであるジェリー・スティラーが出ているのも見ものか。 B級ゆえに公開されなかったのではなく、 公開を拒絶されたかのような、 DVDスルーの醍醐味が味わえる1作だ^ ^


ライラにお手あげ THE HEARTBREAK KID (2007) 日本未公開 
監督 ファレリー兄弟 official site *「ふたり自身」 (1972) リメイク 
ベン・スティラー ミシェル・モナハン マリン・アッカーマン 
ジェリー・スティラー 

4.19.2009

意外にいい線 「解体病棟」



'検死' という名の いけにえ系ホラー、 未公開で終わる可能性大ながら、 一部では評価が高いので見てみた。 ヒロインの女の子がなかなかキレイだし、 喜怒哀楽の表情が見事。 まずは新たなホラークイーン誕生といったところだ。

ホステル」 や 「ブラッド・パラダイス」 のような かっさばき系サバイバル・スラッシャーだが、 ヨーロッパやブラジルロケは予算の都合上なし^ ^ 痛いだけでなく、 雨や雷といったホラー情緒も楽しめる。 いずれの表現もハンパない^ ^ のでストレス解消にも持ってこいだ。

謝肉祭で盛り上がる若者5人は、 帰路で事故に遭う。 病院から抜け出した男を轢いてしまう。 ほどなく救急車がやってきて全員が '慈悲' 病院へ運ばれる。 救命士に似つかわしくないタトゥだらけの男、 キョーレツな看護婦、 不気味な医師・・ 軽傷の5人だったが、 一人づつ検査室に呼ばれ、 そして誰も帰って来ない。

オーソドックスなのか新しいのか わからないようなところはあるが、 ユーモア表現もツボを心得ているし、 映像センスも悪くない。 やや新種のその手の作品と言ってしまえばそれまでだが、 意外にいい線いってるのではないかな。 ホラー好きはとりあえず要チェックだ!




解体病棟 AUTOPSY (2008) 日本公開10月 AFTER DARK HORRORFEST*JAPAN 2009 限定 
監督 アダム・ギーラッシュ 
ジェシカ・ロウンズ ロバート・パトリック
B001P9N93U海外版 [DVD]
Lions Gate 2009-03-31

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日本版はビデオ題 「ファイナル・デッドオペレーション」 として12月下旬レンタルのみ開始。 なんだ、 そのタイトルは・・