7.10.2009

懐かしい響き・・ 「オカルト」



「ノロイ」 「グロテスク」 とプレーンなタイトリングで攻める白石監督、 今回はオカルト・・って懐かしい響きだな。 またしてもフェイクドキュメンタリーだが、 この手法では先駆的な監督でもあるので微妙に期待してしまう。 ところがどっこい、 さすがに先駆者ともなると裏切り方も斬新だ。 何と最後は21年後となってしまうのだ。 こうなると明らかにドキュメンタリーではないが、 そこはほら、 フェイクだから^ ^ アホらしい結末のわりに嫌いになれない自分がいる。 。

無差別殺人事件に巻き込まれるが命を取りとめる男。 男は派遣のバイトでその日暮らし、 ネットカフェに寝泊まりする生活だが、 密かに貯金額を伸ばしていた。 あの事件を生き延びたのではなく、 生かされた。 "次は君の番だよ" という声を聞いたと言うのだ。 そして貯金は使命遂行の軍資金だったのだ。

男はそれを '神託' と呼び、 使命を全うすれば高い次元へ行けるのだと語る。 男の回りではたびたび '奇跡' が起き、 彼を追う取材カメラにもそれは映る。 最初は使命の内容を聞き出して阻止するつもりだった白石本人も やがて、 男の行動を記録して発表することこそが自分の使命だと悟る。 男は貯金を使って爆弾の材料を買い込む。 決行の日は近づく。 場所は渋谷交差点・・

スピルバーグの名作 「未知との遭遇」 のその後を描きたかったと語る監督。 神託は宇宙人の策略なのか。 男はカメラを首から下げて交差点に向かう。 向こうの世界を撮影して白石に送るのだと言う。 タクシーには 「ハンコック」 のステッカーが貼られ、 リアルな撮影時期がうかがえる。 そして最後に二人はインディ・ジョーンズの最新作を観る・・

行き当たりばったりなディテールだが、 使命は決行される。 白石も事件への関与で投獄され、 刑務所を出たのは21年後。 そこへカメラが届く。 男があっちの世界へ持って行ったカメラ、 そこに映されていたものは・・ ぎえ〜〜〜〜っ ^ ^ 漫画家の渡辺ペコ、 映画監督の黒沢清らも特別出演して、 まことしやかな演技。 いい大人が悪のりして作ったイタズラのような作品だが、 何とも言えない一抹の感慨も残る。


オカルト (2009日本) 公式サイト&予告編 
監督 白石晃士 特殊造形 西村映像 
宇野祥平 野村たかし 東美伽 渡辺ペコ 黒沢清 

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