6.30.2008

月へ行くネズミ  「ボクと空と麦畑」



ボクと空と麦畑 Ratcatcher (1999イギリス) 日本公開2001 
監督 リン・ラムジー 
ウィリアム・イーディー トミー・フラナガン マンディ・マシューズ 

70年代半ばのスコットランド、 かつての工業都市グラスゴーは荒れ果てていた。 清掃員のストにより町中にゴミがあふれ、 ネズミが走り回る。 ここに両親、 姉・妹と暮らす12才の少年、 少年の夢は新興住宅地の小ぎれいなショートケーキハウスに引っ越すことだった・・

新作でもクラシックスでもないが偶然見た。 なかなかの作品だったのでメモしておく。 監督はリン・ラムジーという女性だが、 いわゆる女性視点などほとんど感じない。 それもそのはず、 監督の兄の幼い頃をヒントに製作したらしく、 12才だった兄の心をトレースしたセミ・ドキュメンタリーでもあるのだ。 それらしい邦題が付いているが、 原題は "ネズミ獲り"。


撮影風景:ラムジー監督 (中央) と子供たち

退屈そうにカーテンに絡まって遊ぶ子供、 長靴の中にズボンの裾を入れるように母から注意されるが、 聞かずに裏手の用水路に遊びに行く・・ 出だしから、 どことなく異様なムードである。 そして用水路で事件は起きる。

少年の父はダンディなルックスだが、 よく見ると頬に刃物で受けたような傷がある。 悪い男ではなさそうだが、 テレビでサッカー中継を見てはエキサイトする、 うだつの上がらない男のようだ。 姉は母の口紅をつけてこっそりとどこかへ出かける。

街の不良少年どもが知恵遅れの子をからかう。 ネズミを風船にくくりつけて飛ばしてしまう。 彼らが慰み者にしている少女と仲良くなる少年。 ふとバスに乗り工事中の新興住宅地へ。 (YouTubeのワンシーンはこのあたり)

他愛のない日常も少しずつ悪夢に浸食され、 少年とその家族はこの生活を抜け出すことができるのだろうか、 あるいは用水路の底に沈んだまま浮かび上がることはないのか。 映像にも音にも才気溢れる秀作。



ボクと空と麦畑
リン・ラムジー

おすすめ平均
starsノスタルジックな水の風景
stars暗いけれどいつまでも心に残る作品
starsケン・ローチのような作品が好きな人にお薦め

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6.29.2008

え!! ハッピーエンド!? 「ゾンビリアン」


ゾンビリアン Days of Darkness (2007) 日本未公開 
監督 ジェイク・ケネディ  official site 
トム・エプリン サブリナ・ジェンナリーノ 

邦題からお察しの通り、 ゾンビ+エイリアンだ^ ^

宇宙から隕石が飛来しキャンプ場で愛を語らう二人を襲う・・ どこかノン気なタッチなのに、 これがド・スプラッター!! そして銃よりナタの使用が多い^ ^

全く恐くはないが、 定期的に徹底してグロくなる。 首切り、 頭蓋切開・・ だが一難去ると急に散漫になって眠くなる。 睡魔と戦っているとまたグロシーン、 という不思議な循環を持つ映画。 しかも、 こんなにグチャグチャなくせに驚異のハッピーエンドなのだ。

しかしながらホラーの巨匠たちが時折り見せたような天才的なセンスなどとは一切無縁、 観客へのサービスというより自ら楽しんでるだけのような、 かといって文芸的な自慰行為とも明らかに違う底の浅さ。 ある意味まじめで、 陳腐さを狙ってるわけでもないところが恐ろしいと言えば恐ろしいが。

検索をしても一行も出て来ず。 ここまで話題にならない作品も珍しい。 いったい全体、 誰が見るのだろうか・・ あ、 自分か。 。





ゾンビリアン

ド・スプラッター、 驚異のハッピーエンド!
評価

6.27.2008

テロか、地球の怒りか 「ハプニング」



シャマラン監督ということでも当然、 期待は高まる。

'その出来事' によって、 人々は自主的に死に向かうようになる。 狂ったネズミの集団自殺のようだ。 頭上からバタバタ降って来るシーンは凄い。 テロとも地球の怒りとも推察されるが本当のところはわからない。 人々は影響のない場所を求めて逃げ回るが、 家族のような三人がたどり着いたのは世界の終わりだった・・?!

今回のシャマランはゾンビ映画的な不気味な光景を炸裂させながら、 人間存在を問う。 そうなると実際、 ロメロなどに通じる物語でもあり、 正直これまでのシャマラン作品を越えているかどうかは何とも言えない。 切り口もそれほど新しい気がしない。 個人的にはゾンビ好きなので満足だが、 拍子抜けする人もいるかもしれない。

本作で擬似的な母親役をつとめるズーイー・デシャネルだが、 役作りなのか地なのか、 表情や態度がどこかヘンで、 ようするに行っちゃってる。 監督も意図してるのか自然にやらせているのか、 ある意味、 彼女がいちばん恐かった。 。

夏休みに入ったら、 まずはこの映画で景気づけ(?)と行こう^ ^



ハプニング THE HAPPENING (2008) 7/26 公開 
M・ナイト・シャマラン監督 オフィシャルサイト&トレーラー 
マーク・ウォールバーグ ズーイー・デシャネル 
ハプニング (特別編)特別編 [DVD]

 スターシップ・トゥルーパーズ3 デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 リミテッド・バージョン ランボー 最後の戦場 コレクターズ・エディション 告発のとき クライマーズ・ハイ デラックス・コレクターズ・エディション

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6.26.2008

自分BOX?! 「グミ・チョコレート・パイン」



グミ・チョコレート・パイン (2007日本)
監督 ケラリーノ・サンドロヴィッチ 原作 大槻ケンヂ 
テーマ曲 電気グルーヴ 「少年ヤング」 
石田卓也 黒川芽衣 柄本佑 金井勇太 森岡龍 大森南朋 高橋ひとみ
(特別出演:鈴木慶一 内田春菊 ピエール瀧)



"有頂天" のケラ、 と言っても今や知る人ぞ知る存在。 バンド以降は演劇や映画で密かに活躍している元祖 'オモロー' だが、 密かに同世代なので 「1980 イチキューハチマル」 も苦く笑えたし、 本作も超・期待の星だった。

唐突にジョイ・ディヴィジョンが出てきたと思ったら、 スロッビン・グリッスル、 キャバレー・ボルテール・・ 次に挙がる名前が先読みできるリアルさで、 テンションは概ねユルイものの、 懐かしいと言うか、 おぞましいと言うか、 おニャン子クラブや聖子ちゃんカットまで登場する。 "自分BOX" はさすがに知らないが実在の日本のノイズバンドとのこと。

どこにでもいる中年男になってしまった主人公は、 思い出の彼女が自殺したと聞かされ、 物語は80年代の高校生活に飛ぶ。 当時の彼は周りの同年代をバカにし、 自分は違うんだ、 という確認を映画やノイズバンドで行う日々だったが、 そんなある日、 名画座で偶然、 密かに思いを寄せていたクラスの女の子に会う。 彼女は映画に詳しく、 人生について年相応の冷めつつも熱い意見を述べ、 学校でのアイドル的な振る舞いは仮の姿だと語った・・

男子高校生を演じるのは、 またしても石田卓也。 文芸タッチの男子もソツなくこなしている。 黒川芽衣も、 ただのカワイイ子ではない雰囲気がさりげなく漂っていて、 柄本佑、 大森南朋とともになかなかいいキャスティングではないだろうか。

80年代の高校生にしては話し方が今っぽすぎる気もするが、 自分たちの世代にしかわからないギャグ満載、 そして特別出演も豪華(?!)な 'ノイズまじりの青春'、 あなたも振り返ってみてはいかが。 。 バンドやってた人にはわかる、 練習スタジオの雰囲気とか、 感慨深いんだコレがまた^ ^

「ストロベリー・ショートケイクス」「マイ・ブルーベリー・ナイツ」「ハチミツとクローバー」と最近この手のタイトリングが多いが "グミ" というのは大槻ケンヂっぽい^ ^



6.24.2008

彼が背筋を伸ばすとき 「L change the WorLd」


L change the WorLd (2008日本)
中田秀夫監督 
松山ケンイチ 福田麻由子 福田響志 工藤夕貴 高嶋政伸 
南原清隆 鶴見辰吾 藤村俊二 

公開時、 小学生の子供に見に行きたいとせがまれていたが、 近くの映画館には年齢制限があったので断念。 DVDになったことだし解禁か? ということで一緒に見た^ ^

キャラを大きく打ち破って(?)ダイハードばりの活躍をするL。 そう言う意味でも思いっきりスピンオフしてる本作は、 言わば猫背の彼が世界のためにシャンと背筋を伸ばす話。 「リング」 の中田監督というのが意外だったが年齢制限をしなくてはいけないほどのエグさはなく、 「DEATH NOTE」 ほどの盛り上がりもないものの、 じゅうぶん子供と一緒に楽しめる作品と言える。

「呪怨」 がハリウッドリメイクされる際、 清水崇監督自身にメガホンが託されたのに対し、 「リング」 ハリウッド版の場合は中田監督にはお鉢が回って来ず。 「リング2」 のリメイクのときにようやくハリウッドでメガホンを取ると言うので期待したが、 ハリウッドカラーに染まっていて薄い印象しかなかった記憶がある。 どちらかというとクセがなく、 物語に寄っていく職人タイプの監督なのか、 本作も話題作のわりに地味な印象。

Lに残された時間をカウントダウンするので、 よけいに 「リング」 を思い出すが、 ワンパターンだとか話題性とのギャップを抜きにして見れば、 見終わった後にも一抹のシリアスな感慨の残る良作なのかもしれない。

6.23.2008

映画のクレームはどこへ持ち込めば? 「クレーマー」



クレーマー (2008日本)
監督 金子大志 
case1 柏原収史 平田弥里 しほの涼 長澤奈央 
case2 小野真弓 三浦アキフミ 高松いく 長澤奈央 葉山レイコ 

食品メーカーの 'お客様相談室' を舞台に、 持ち込まれるクレームを中心に話が進む。
クレームの内容は極端なもので、 社会派なのかなと思っていたがサイコサスペンスだったようだ。 case1がそうだったので、 その終わり際に出てきた小野真弓が主人公となるcase2もそのつもりで見ていると今度は心霊ホラーだった^ ^

小さな映画館で密かに公開されて、 後はDVDで細々と・・ こういう作品は誰が見てるのかときどき疑問に思うが、 他でもない自分が見てるのだ。 。 ちと古いがハリケンブルーこと長澤奈央が2本ともに脇役で出ている。 彼女の生ステージを東京ドームシティで見て以来、 密かにファンだから喜んだものの、 正直どうでもいい役だった。 case2では看護婦長役で葉山レイコが出ているのはやや、 みっけもん?

食品と違って映画にはクレームも来ない。 その前に自主規制してしまうからか。 だがこうしてレビューめいたものを書いていても大半はどこにも届かないクレームになってしまっている。 その内容は概ね奪われた時間を返してくれといったたぐいのものだが、 暇つぶしにはちょうどいいというニーズもあるんだろうな。 そうとしか考えられない..







何でもありの免責としてのパラレル 「リアル鬼ごっこ」


リアル鬼ごっこ (2008日本)
原作 山田悠介 
監督 柴田一成 
石田卓也 谷村美月 大東俊介 松本莉緖 柄本明 

パラレルワールド物ってのも珍しいので見てみた。

原作が原作なので説明セリフが多くなってしまうは仕方ないかもしれない。 それはそれで 'へえ、 そうなんだ' って思いながら見るとして、 じゃあ映画としての見どころは?となると薄い気もする。 スピード感のある演出はまずまずだが、 'サイバー鉄仮面' の鬼は宣伝上のキャッチーさだけで完結していて映画の中では大して恐くない。 覚えやすいタイトルとアイコンだけで成立してる大味な商品か。 パラレルワールドというのも '何でもあり' の免責でしかなかったようだ。

主演の石田卓也は 「雨の翼」 ほど好印象ではないし、 なぜか出演者全員の印象まで薄い。 原作の文章が中学生並みとどこかで評されていたが、 映画は小学生になら受けるかなという内容。 それでも鬼ごっこを懐かしみながら見るという趣向もある?
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6.21.2008

アメリカでもDVDスルー 
「あいつはママのボーイフレンド」



ビッグネームを揃えながらアメリカでもDVDスルーとなってしまったらしい本作、何を間違ったか見てしまった^ ^ これは確かにスルーだ。日本では間違って公開されてしまう可能性も少なからずあるが。。(10.6 追記 やはりスルーだった^ ^)

風船のようにふくれたメグ・ママがいきなり出てきたりして引いてしまうが、FBI捜査官となった息子が次に帰省するとプールサイドにスリムな女性が寝そべっていて、振り向くとこれがママ。ママは心機一転、生活を改め人生を謳歌しているが、勢い余って大学生の男の子とデートしたり。ヘッドホンで音楽を聴きながら小躍りするママ・・ せめて年相応の男とつきあってほしいと言われた矢先に現れたバンデラスは国際的な美術品泥棒だった・・ あちこちの映画から寄せ集めたようなチープなアイディア満載で、おまけに 「卒業」 の名曲 "ミセス・ロビンソン" までかかったりするのだからパロディ映画かなと勘違いしてしまう。

コメディも中途半端、ラブも中途半端で、最後に中くらいのどんでん返しがあってハッピーエンド。必然性のない設定とご都合主義の三流シナリオ。ここまで書くともはや誰も見る気がしないだろう。

だからせめて中くらいにディープなベッドシーンでもチラッと見て、さ、次行ってみよう。



追記
さんざんコケにした後でなんだけど、しいて言えば^ ^ メグ・ライアンの水着姿はそれなりに可愛かったし、バンデラスの二丁拳銃は少しだけ笑えた。バンデラスってそんなに背が高くないんだね、もっとデカイ印象あったんだけど。

あいつはママのボーイフレンド
My Mom's New Boyfriend (2008ドイツ・アメリカ) 未公開
監督 ジョージ・ギャロ 
アントニオ・バンデラス メグ・ライアン コリン・ハンクス